環はその場で固まり、顔いっぱいに驚愕を浮かべた。え?星羅の父親が司だと?環は、自分の耳がおかしくなったのかと疑った。「星羅、パパは誰だって?」星羅は甘えた声で言った。「おばあさん、星羅のパパはおじさんだよ。おばあさんは、星羅の本当のおばあさんなの!」環は衝撃を受けた。その時、司と真夕が出てきた。司「お母さん、聞き間違いじゃない。星羅は確かに俺の実の娘なんだ!」「え?これはいったいどういうことなの?」と、環は驚いた。司はDNA鑑定書を取り出した。「これを見て」環はそれを受け取り、開いて結果を見た。そこには、星羅が確かに司の実の娘であると記されている。どうりで……どうりで自分がこんなにも星羅を好きになったはずだ。星羅は本当に自分の孫娘だったのだ!堀田家には後継ぎができたのだ!司「俺と真夕の間には色々あった。当時俺は真夕の心を深く傷つけた。でも島田は真夕の彼氏じゃなく、先輩だったんだ!それに、堀田家と岩崎家の婚約の件も、昨日俺が岩崎家に行って正式に取り消してきた。俺は絶対に岩崎彩なんかと結婚しない。俺が真夕と結婚したいんだ。星羅は俺の娘だ。俺は星羅にちゃんとした家庭を与えたい。これからは、真夕と星羅をしっかり愛していく。だから、お母さんにも応援してもらいたい!」環は興奮しながらDNA鑑定書を握りしめた。「司、まさかお母さんがあなたと真夕を引き裂いて、結婚に反対するとでも思ったの?」司は驚いた。「雪奈おばさんはお母さんの親友だよね。俺は、お母さんが堀田家と岩崎家を縁組みさせたいと思っているんだと……」環は太ももを叩いた。「あなたったら、お母さんを甘く見すぎ!雪奈の人柄は私が一番知っている。もし雪奈が、あなたが彩を愛していないと知れば、無理やり結婚させたりはしないわ!」そう言って環は二歩進み、真夕の手を握った。「真夕、星羅はやっぱり司の娘だったのね!」真夕はうなずいた。「はい、奥様。これまで星羅の出身を伝えなかったこと、本当にごめん」環は首を振った。「真夕、謝る必要なんてないわ。謝らなければならないのは私よ。三年前、私が強引にあなたと司を引き裂いてしまった。本当にごめんなさい」真夕は唇をゆるめた。「奥様、以前も言ったが、人にはそれぞれ立場があると思う。奥様は間違っていないよ」環は涙ぐみながらう
真夕は司を見つめて言った。「今日はもう婚姻届を出して結婚するの?」司は体を起こして答えた。「ああ。昨晩君、俺をほとんど絞り尽くしそうになったじゃないか。責任を取らなくていいのか?」なに?自分が彼を絞り尽くしたんだと?そんなわけない!彼自身が……まるで野獣みたいに!「結婚したくない!」真夕は、司と婚姻届を出して結婚するなんて、考えたこともなかった。その時、星羅が手を伸ばして真夕の首を抱きしめた。「ママ、どうしてパパと結婚しないの?」真夕は星羅に対して後ろめたさを感じた。この三年間、星羅はずっとパパを求めており、完璧な家庭環境を欲しがっている。これは真夕が星羅に対して申し訳ないと思う理由だ。「星羅、ママは……」「あっ、わかった!きっとパパが何か悪いことをしてママを怒らせたんでしょ。だからママはパパと結婚しないの。これは絶対にパパのせいだよ!」真夕はすぐに口元を緩めて笑った。星羅は本当に自分の心のぬくもりのような存在だ。星羅は自分のことをとても、とても愛しているのだ。司は真夕を愛おしく見つめながら言った。「星羅、パパのせいだ。パパは昔、たくさん間違いを犯してママを悲しませた。でも今はママにもう一度チャンスをあげてほしい。星羅、監視していてくれ。もしパパがまた間違えたら、ママはいつでもパパの元を離れていいんだ」星羅は真夕を見て言った。「ママ、パパが間違いをしたら許さないでしょ。だからもう一度チャンスをあげて、ちゃんと直してもらおうよ、いい?」真夕は思わず笑った。我が子は天才だなあ。娘のキラキラした大きな瞳を見つめ、真夕は何と言えばいいのか分からなかった。その時、司が真夕の小さな手を握った。「真夕、自分の心から目を背けないで。君も俺を愛していることは分かっている。俺も君を愛している。もう三年も無駄にしてしまった。今度こそやり直そう。俺の妻になって、ちゃんと愛して大事にするから!」真夕の心は揺れた。たとえ認めたくなくても、自分の心はまだ司を愛していると言っているのだ。司は、自分が長年愛してきた男だ。そして今もなお彼が愛おしく思っている。星羅がいる以上、結婚してもいいかもしれない。真夕が言葉を発しようとしたその時、ノックの音がした。外から清の声が聞こえた。「社長、お母さまがお見えです!」環が来た!
司の喉が大きく鳴った。自分の小悪魔が戻ってきたのだ。司は真夕の柔らかな腰を掴み、低く笑った。「……食べきれるかな?」真夕は、この栄市で最もビジュアル抜群で身分が高い男を見つめている。強引で傲慢、天下を我が物にするその姿に、真夕は逆に笑みを浮かべて腕を彼の首に回した。「試してみればわかるさ」……何時間後、真夕は司に抱き上げられ、ベッドへと横たえられた。全身は力が抜け、まるでバラバラに砕けたように、真夕には何の気力も残っていない。ベッドの内側では星羅が眠っている。小さな顔はガラス玉のように愛らしく、白い肌に赤みが差し、熟れた林檎のように齧りつきたくなるほどだ。真夕は星羅を抱き寄せ、そっと口づけた。その時、司がシャワーを済ませて戻り、真夕の隣に寝転がり、彼女を抱きしめた。真夕は司を横目で睨んだ。「ここで寝ちゃだめ。下で寝て!」司は真夕の頬をつまみ、悪戯っぽく言った。「知らん顔か?さっき俺の上に乗ってたときは、そんなこと言ってなかっただろ?」真夕は目を細めて司を睨んだ。「……下で寝て!」「嫌だ。今夜は嫁と娘を抱いて寝るんだ!」今星羅が内側で眠り、その隣に真夕、さらに外側に司がいる。真夕と星羅を見つめながら、司の胸は幸せに満ち溢れている。この瞬間を、自分はどれほど待ちわびただろうか。「誰があなたの嫁なのよ!勝手に呼ばないで!」と、真夕は顔を赤らめて嗔った。司は唇を吊り上げた。「君が俺の嫁だ。池本真夕は堀田司の嫁なんだ!」「厚かましい!放して!」「放さない!」司は身を翻し、再び真夕を自分の下に押し伏せた。司の燃えるような瞳の炎を見て、真夕は感心した。この男の体力は化け物だ。オフィスからソファ、シャワールームまで……それでもまだ燃え盛っているのだ!真夕は慌てて目を閉じた。「……眠いの。寝たいの!」司は唇を重ねて囁いた。「ああ、じゃあ先に眠れ」だが、司の手はすでに真夕のパジャマにかかっている。真夕は慌ててその手を押さえ込んだ。「星羅がここにいるのよ!恥ずかしくないの?」「大丈夫だ、寝てるし。パパとママが何をしてるかなんて知らないさ」この恥知らずめ!真夕は思わず拳を握りしめた。「司!」司は真夕の耳を甘く噛み、囁いた。「しっ……声を出すな、星羅に聞かれるぞ」真夕「……っ」
司は即座にきっぱりと言い放った。「そんな日が来ることは絶対にない。俺は岩崎彩なんかと結婚しないのだ!」真夕は冷ややかに言い返す。「私はあなたと結婚しないよ!」司は聞いた。「なぜだ?」真夕が言葉を探そうとしたその瞬間、司は彼女の声を遮った。「真夕、俺たちの間には色んなことがあったけど、俺が愛してきたのはずっと君だけだ。君を愛さない日なんて、一日もなかった。もう一度チャンスをくれないか?やり直そうよ」真夕「私たちは……」その言葉の続きを、司は許さなかった。彼は真夕の小さな顎を指でつまみ上げ、そのまま彼女の赤い唇を奪った。司はキスで真夕を黙らせようとしている。んっ。唇を重ねられた瞬間、真夕は両手で司の厚い胸板を押し返そうとした。「司、やめて!放して!」だが、司はびくともしない。「放さない。真夕、君が俺を愛してないなんて言わせない。島田が君の先輩だってことも、もう知ってるからな!」真夕の心臓が大きく跳ねた。まさか、そこまで知られているとは。「真夕、この数年、俺の側には他の女なんていなかった。君だって他の男と距離をおいている。君はまだ俺を愛している。俺も君を愛している!」真夕は心が溶けたように感じた。「……愛してなんかいない!」「口ではそう言っても、身体は正直だ。今は水みたいに柔らかいじゃないか」司はさらに深く真夕の唇を押しつけ、その甘さを貪り、歯をこじ開けて荒々しく侵入した。真夕は自分のことを嫌になってしまった。頭では拒絶しても、体は彼を拒めない。三年前の夜々が鮮明によみがえった。彼と絡み合い、互いを擦り減らすほど愛し合った日々を、真夕は今も覚えている。真夕は司を押し当て続けている。「司、やめて!」司は唇で真夕の耳を舐め、手は彼女の服を払い落とした。下から覗くのは薄いキャミソールだ。彼はかすれた声で笑いながら囁いた。「自分を見ろ。こんなにとろけてるじゃないか……まだ嫌だなんて言えるのか?欲しがってるくせに」真夕の小さな顔が一気に真っ赤に染まった。今夜はもう逃げられないと、真夕は悟った。なら、いっそ楽しんでやる。ベッドでは司が最高の相手だということを、真夕は誰よりも知っている。真夕は突然、司の首に腕を回し、自ら唇を重ねた。司の目が一瞬見開かれ、すぐに笑みが宿った。柔らかな唇の圧力、絡み合う
司は力強くうなずいた。「そうだ。俺は星羅が欲しい!星羅の親権を手に入れる!」真夕の怒りが一気に噴き出した。彼女は手を振り上げ、司の整った顔に平手を浴びせようとした。だが、その手は届かなかった。司がすばやく真夕の細い手首をつかみ、ぐっと引き寄せて真夕を自分の胸に押し込んだ。「俺を殴るつもりか?」「あなたに星羅を争う資格なんてない!娘は私が産んで、私が育てたの。あなたは何ひとつ貢献もしていない!」司は真夕をひょいと抱き上げ、数歩でデスクの上に腰掛けさせた。そして両腕で机を支え、真夕を完全に閉じ込めた。「貢献がないって?俺がいなければ星羅も存在しない。君、俺の遺伝子を盗んで子供を産んだのだ!」真夕「……」その一言に、真夕は言葉を失った。確かに司の遺伝子があったからこそ、星羅は生まれたのだ。真夕は、当時幸子や佳子にからかわれたことを思い出した。司の遺伝子なら損はないと、三人で確かに話し合っていたのだだが、認められるものか。真夕は怒りに震えた。「こんな話をしても意味がないわ!」「じゃあ何を話す?星羅が俺の娘であることは事実だ。もし親権を争う裁判になったら……君に勝ち目があると思うか?星羅は必ず俺に託されるだろ」真夕の胸に不安が広がった。彼と自分の力の差はあまりに大きい。裁判になれば、裁判所はきっと、より条件が豊かな側を選ぶだろう。真夕の澄んだ瞳が司の端正な顔を見据えた。強く出ても敵わないなら、懇願するしかないだろう。「司……お願い。星羅を奪わないで……星羅は私の命なの。私の体から育った命なのよ……もし奪われたら、私はどうすればいいの?勘弁してよ……」司は、真夕が弱音を吐く姿を面白そうに眺めた。瞳に狡猾な光を宿しながら、司は唇を吊り上げた。「今……俺にお願いしてるのか?」真夕は小さく頷いた。「そうよ。つか……いいえ、堀田社長。お願いしてるの」司は笑みを深めた。「これがお願いか?誠意が見えないな」真夕は心の中で司を罵倒した。だが、その顔には涙目のような愛想笑いを浮かべた。「堀田社長が一番かっこいいわ。私が見た中で一番……素敵で、有能で、誰もかなわない男性だ。だからたくさんの女性が堀田社長を好きになるのね……」司の眉が軽く動き、彼は声を立てて笑った。「俺がそこまで素晴らしい男なら、真夕、君は好きか?俺のこと?」
「司、何してるの?なんで星羅を連れて行ったの?」「真夕、俺の会社に来い。オフィスで待っている」「ちょ……」と、真夕は拒絶しようとした。夜も遅い。前回だって司のオフィスへ行ったせいで、二人が危うく一線を越えそうになった。また夜に呼び出されるなんて、真夕はとても行きたくないのだ。だが、司は真夕に断る隙を与えなかった。「真夕、星羅はここにいる。もし今夜来なければ、もう二度と星羅には会えないぞ!」は?真夕の顔色が変わった。「それってどういうこと?会えないって?星羅は私の娘よ。あなた、何をするつもり?」司「真夕、星羅は、あなただけの娘なのか?」真夕はハッとし、手にしたスマホをぎゅっと握りしめた。「あなた……その言葉、どういう意味?」「どういう意味だと思う?真夕、後ろめたいことでもあるのか?」「な、何もない!いったい何が言いたいの?」「真夕、星羅は本当に、君だけの娘なのか?星羅のパパは誰だ?」「ちょっと、あなた……」「オフィスで待ってる!」司はそれ以上話す気はないらしく、電話を一方的に切った。真夕は言葉を失った。行きたくはないが、行かざるを得ない。司がもう星羅の秘密を知ってしまったのではないか、そう感じたからだ。真夕は慌てて服を着替え、堀田グループへ向かった。三十分後、真夕は堀田グループの社長室に辿り着いた。彼女は扉を押し開けた。「司、星羅はどこ?」司は椅子に座ったまま真夕を見つめている。「来たのか」「星羅は?星羅を見せて!」司はリモコンを手に取り、休憩室のカーテンを開けた。ガラス越しに、そこには小さな星羅の姿がある。彼女は司の大きなベッドで丸くなり、すでに幸せそうに眠っている。真夕の強張っていた心はようやく解けた。しかし同時に、胸の奥で少し嫉妬が芽生えた。星羅は、司と一緒でも安心して眠ってしまうのか。星羅がどれほど司を好きなのか、真夕には分かっている。司は立ち上がり、真夕のもとへ歩み寄った。「星羅は元気だ。もう眠っている」「連れて帰るわ」「駄目だ」と、司は即座に拒んだ。真夕は司を真っすぐに見つめた。「星羅は私の娘よ。私はあの子の母親なの。娘を連れて帰ることすら許されないの?」司は唇の端を上げた。「真夕、もう一度聞く。星羅は本当に、君だけの娘なのか?」「……あなた、何