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第445話

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結衣は月子のことを問いただしたりしなかった。彼女の生い立ちにも興味がなかった。隼人が言ったように、家柄などよりも、女であることの方がよっぽど重要だったようだ。

だけど月子は少し疑問に思った。本当に気にしないのだろうか?

入江家の人たちはとても気にしていて、事あるごとに彼女のことを責め立てた。

だけど、月子はわざわざそんなことを言い出すほど馬鹿ではなかった。彼女の目的は隼人と恋人の振りをすることだったからだ。

今のところ、それが果たされているようだったから、それで十分だった。

食事を終えると、隼人はまた彼女の手を握った。手と手が合わさって彼の温もりがひしひしと伝わってきた。

月子は手をつなぐのが好きだった。静真といた頃も、それが一番温かい思い出だったからだ。もちろん、その思い出は静真によって壊されてしまった。けれど、誰かと手をつなぐと、静真との記憶が蘇ってくるのは否めなった。

だが、今は、この温もりは隼人のものだと、はっきり分かっていた。

手のひらの温もりが、彼女は一人ではないことを知らしめてくれているようだった。

結衣が月子に会いたいと思ったのは、単なる好奇心からのようで、だから、込み入った話はなにもしてこなかった。もしかしたらそれも彼女にプレッシャーをかけないようにと結衣が気を遣って、詮索しないようにしてくれてたのかもしれない。

帰る時、月子と隼人は結衣と裕子を見送った。庭に出ると、結衣は隼人に少し話があると呼び寄せたから、裕子は外で待つことになった。

「ちょっと待ってて」隼人は月子に言った。

月子は頷いた。

結衣が先に立って歩き、回廊の角を曲がったところで立ち止まった。隼人は彼女の前に立った。

結衣は隼人を頭からつま先まで眺め、半分うんざりしたような視線を送った。

隼人は彼女のそんな態度には慣れっこで、無表情で言った。「で、何が言いたいんだ?」

息子のこの態度にも、結衣は慣れていた。彼女は軽く笑いながら言った。「いつも私を怒らせて、あなたなんか生まなきゃよかったと思うこともあるけれど、どう言ったらいいか……あなたは私に似ているわね。特に人を見る目の無さに関しては、若い頃の私とそっくりね」

隼人の表情が険しくなった。

「怒った?やっぱり彼女が好きなのね」結衣は笑った。「私も綾辻さんは好きよ。あらゆる面で素晴らしいし、第一印象もよ
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