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第743話

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「去年の6月のこと、覚えてるか?」静真は聞いた。

月子はその言葉を聞いた途端、嫌な予感がした。

彼女はもちろん、去年の6月に何があったか知っていた。自分が妊娠した時のことだ。

どうして静真は、今更そんな話を持ち出すんだろう。昔話でもするつもりなのだろうか?

そう思いながらも、月子は思わずぎゅっと手を握りしめた。

彼女の顔色が変わったのを見て、静真は言った。「やっぱりお前は、俺たちの子供のことを大事に思ってたんだな」

月子の顔は曇った。今となっては子供への執着はないけど、当時はたしかに期待で胸をいっぱいにしてた。それに、初めての子供だったから、意味合いも違った。あの子は結局産んであげられなくて、彼女の心の傷となり、触れられたくない部分になっていた。なのに、静真はわざわざあの子の話をするために自分に会いに来たのだ。

月子の凪いでいた目に、ついに感情の揺らぎが表れた。「静真、なんで今更その話を持ち出してくるの?」

彼女の眼差しに、静真は胸を痛めた。「すまなかった。あの時の俺は……」

月子は彼の言葉を遮った。「今のあなただって、結果は同じよ。だって、あなたはあの子を一度も望ん
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