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第988話

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洵が放ったその強烈な一撃に、個室にいる三人は瞬時に凍りついた。

竜紀は体勢を立て直し、洵に飛びかかろうとしたものの、あまりの衝撃に足が止まってしまった。

桜の反応も同じだ。かつて天音が鬱憤晴らしに洵へ絡んだ際、洵はあくまで防御と反撃に徹していただけだった。

以前、天音が手を数針縫う怪我をした時でさえ、それも彼女が洵を陥れるためにわざと転んで作った傷だったのだから。

つまり、洵が自ら手を上げたことなど一度もなかった。それなのに、今日、彼は天音を殴った。しかも、顔を。

今の天音がどれほどの衝撃と怒りを感じているか、桜には想像もつかなかった。おそらく天音の脳内には、「洵に顔を張られる」というシナリオなど、微塵も存在していなかったはずだ。

天音は心の底から洵を見下していることは、桜と竜紀はよく知っている。

洵は、過去に天音が手を出したタレントたちより少し扱いづらいだけで、本質的には暇つぶしの玩具に過ぎないのだ。

天音の理屈では、飼い犬が飼い主に牙を剥くなどあってはならないことだ。たとえ自分がどれほど非道な振る舞いをし、相手を深く傷つけたとしても、相手はそれを黙って受け入れるべき
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