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第369話

Author: タマタツ
絃葉と健二による後継者争いは、今にも火蓋が切られようとしていた。

祖父が多磨城へ戻ってからというもの、書斎には古参の株主たちが入れ代わり立ち代わり訪れている。

日野も、もうすぐ西尾グループの経営戦略が大きく見直されることを、それとなく示していた。

確実だと思われていた絃葉の後継者としての立場は、健二の出現によって揺らぎ始めている。

絃葉はすでに、運命がもたらした変化を穏やかに受け入れていた。

祖父の考えにも薄々気づいていたが、今はただ、幸先がよくなるよう願っていた。

三人は車で山の麓へ向かった。

休日とあって、参拝客が途切れることなく押し寄せ、駐車場にも空きが見つからない。

景は離れた場所に車を止め、三人は歩いてお寺へ向かった。

絃葉の体力は、驚くほど優れていた。

見た目は細身でか弱そうなのに、歩きだすと足取りは軽く、まるで疲れを知らない。

リュックを背負い、悠と昔の面白い出来事を振り返りながら、楽しげに歩いている。

景は二人の後ろを、急ぐことなくついていった。その表情はいつになく凛としていた。

カジュアルな服装をしていても、生まれながらの圧倒的な存在感は隠し
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