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第210話

Author: おミカン
和也の言葉に、絵里の動きがピタリと止まった。心の奥底に、ふと抗いがたい劣等感が湧き上がる。

彼の言う通りだ。自分はただのしがない脚本家でしかなく、表舞台に立てるような存在ではない。

だが、そんなことは些細な問題だった。

和也の口にした人物が、修司の言っていた相手と同一人物であることは明らかだ。

裕也は「子供は自分の子ではない」と言っていたが、その女が彼の想い人ではないとは一言も言っていなかった。

それに、裕也自身が「愛する人には愛されていない」と口にしていたのを、彼女ははっきりと覚えている……

絵里は血の気を失った青白い顔で、必死に感情を押し殺し、どうにか平静な声を取り繕った。

「それが何?私の勝手でしょ。あなたに心配される筋合いはないわ。自分のベッドに潜り込もうとするあの妹のことでも心配してればいいじゃない」

最後には、皮肉を込めることも忘れなかった。

和也は言葉に詰まり、見る見るうちに顔をしかめた。

「あの件について、俺は何も知らなかったと言っただろ。絵里、お前はいつまでそのことに固執するつもりだ?」

和也はそれでも怒りを呑み込み、絵里の手に触れようと手を伸ば
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