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第56話:完璧に仕事だった

Author: Sunny
last update publish date: 2026-08-15 22:52:57

『神崎様

本日はお忙しいところ、わざわざお立ち寄りいただきありがとうございました。

先ほど事務局より、今後の制作スケジュールについて共有をいただきました。

現場で確認が必要な事項が発生した場合には、こちらからご連絡いたします。

引き続き、よろしくお願いいたします。

朝倉エマ』

短い。

完璧に仕事だった。

余計な一文もない。

自分から会話を続ける余地さえ残していない。

それなのに。

玲は、しばらく画面から目を離せなかった。

自分の名前を。

彼女が入力した。

自分へ送るために。

たったそれだけのことへ、胸の奥が熱を持つ。

おかしい。

分かっている。

これまで何千通、何万通とメールを受け取ってきた。

世界中の経営者。

政治家。

投資家。

アーティスト。

会いたいと連絡してくる人間など、いくらでもいる。

それなのに。

朝倉エマから届いた数行を。

玲は、もう三度読み返していた。

画面の下に返信欄がある。

今度は。

理由がある。

返信できる。

『こちらこそ、ありがとうございました。』

打つ。

『何かあれば、いつでもご連絡ください。』

そこまで入力して。

玲の指が止まった。

いつでも。

仕事の意味
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