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第42話

Auteur: こふまる
助手席に座った夕月は、どこか落ち着かない様子だった。

「この車は……」

「七年前のクリスティーズのオークションで落札したんだ。このために、青天井の値をつけたよ」

青天井の値付けとは、オークション業界の用語で、他の入札者がどんな金額を提示しようと、それを上回る価格を出し続けることを意味する。

それは、その品物を絶対に手に入れるという買い手の強い意志の表れだった。

この「コロナ」というスポーツカーは、七年前のオークションで、世界を驚かせる記録的な価格で落札された。

「あなたが買い手だったのね」

夕月は微笑んで、懐かしむように車体に手を触れた。

「この車が……」

夕月の言葉を遮るように、桐嶋涼が続けた。

「知ってるよ。最初のオーナーが夕月さんだってことも」

それだけじゃない。彼は実際に、夕月がこの車でレースを戦う姿を目にしていた。

ヘルメットを脱いだ時の、輝くような彼女の表情も。

あの笑顔ほど、心を打つものはなかった。

灰色の雨模様を見つめながら、桐嶋涼は尋ねた。

「夕月さん、まだ夢は持ち続けているの?」

雨に濡れた黒い瞳を大きく見開いた夕月は、湿った指で「コ
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