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第1010話

مؤلف: キラキラ猫
玉希は、その言葉を待っていた。

「じゃあ、父さんはもう口出ししなくていいじゃない。蓮と母さんは親子なんだし、父さんは母さんの子じゃないんだから。ね?」

宗介は呆れたように眉をひそめた。

ここまで話しても、蓮も琴子も簡単に考えを変えそうにはなかった。

どちらか一方だけを責める気にもなれず、宗介はしばらく黙ったあと、深いため息をついた。

「母さんには俺から話しておく。蓮も、いつまでもあの調子じゃ駄目だ。

凛さんとちゃんと話がついたら、一度家に戻って、母さんにも一言謝ればいい」

玉希は、まだ納得していない様子だった。

昔なら、宗介がひと言いえば、子どもたちもそれに従っていた。

だが、今ではみんな大人になり、それぞれ自分の仕事も持っていた。宗介が何を言っても、素直に聞く者はほとんどいなかった。

蓮がこれだけ長く家に帰ってこなくても、宗介には無理に連れ戻すこともできなかった。

話が終わると、浩介と玉希はそれぞれ部屋へ戻った。

宗介も寝室へ戻った。

琴子はもう目を覚ましていて、ベッドにもたれながらアルバムをめくっていた。

そこには、子どもたちの小さい頃からの写真が何枚も
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    琴子はしばらく呆然としたまま、蓮が出ていった方を見つめていた。やがて涙があふれ、声も次第に震えていった。「あの子、いったいどういうつもりなの……?あの女のことで、実の母親にあそこまで言うなんて……私はずっと蓮のことを考えて、あの子のためにやってきたのよ。それが全部間違ってたっていうの?」「浩介と玉希は私が産んだ子じゃないけど、だからって二人をないがしろにしたことなんて一度もないわ。蓮は実の息子なんだから、それ以上に大事にしてきたつもりよ。それなのに、あんなことを言うなんて……」結婚のことになると口を出すところはあったが、普段の琴子は浩介や玉希にもよくしていた。三人きょうだいも昔から仲がよく、母親が違うことを意識するようなことはほとんどなかった。宗介は泣き続ける琴子を抱き寄せて宥め、落ち着いたところで部屋へ戻した。それから浩介と玉希を書斎へ呼んだ。「いったい何があったんだ?」浩介と玉希は顔を見合わせた。玉希が、今日あったことを順を追って話した。玉希が話し終えると、三人ともしばらく黙っていた。やがて宗介が、手にしていたグラスを机に強く置いた。「それでも、あんな言い方をしていいわけじゃないだろう。母親なんだぞ」浩介が口を開いた。「父さん。もし昔、母さんと結婚する前に、おばあちゃんが母さんに同じことしてたら?」「うちの母親は、そんなことする人じゃない」そこまで言って、宗介は口をつぐんだ。もし本当に同じことをされていたら、宗介だって黙ってはいられなかったはずだった。琴子も、到底我慢できなかっただろう。少しして、宗介は言った。「でも、凛さんと母さんは違うだろ。母さんは昔から何不自由なく育ってきたから、少し気が強いところがあるだけで……」玉希がすぐに言い返した。「凛ちゃんだって、そんなふうに見下されるような人じゃないでしょ。九条のおじいさまだって、前は凛ちゃんを九条家の嫁に迎えたいと思ってたくらいなんだから。今の『アンサンブル』を見れば、父さんだって分かるでしょ?」だからといって、凛ばかりが我慢する筋合いはなかった。琴子にだけ言いたいことを言わせて、周りが黙って合わせる必要もなかった。宗介はグラスに口をつけると、少し声を落とした。「だからって、蓮が母さんにあんな態度を取っていい

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    蓮がここへ戻ってきたのは、確かめたいことがあったからかもしれない。この二年、どこで間違えたのか。それを知りたかった。宗介も、今回のことをすべて知っていたわけではなかった。琴子が人に頼んで、凛と蓮の相性を見てもらったことは知っていた。ただ、それ自体は別におかしいとは思っていなかった。佐原家では昔から、そういう縁起や日取りを気にしていた。結婚のような大事なことはもちろん、仕事でも契約の日を選ぶことがあるくらいだった。琴子から聞かされていたのは、凛と蓮はあまり相性がよくなく、一緒になれば苦労するかもしれないという話だけだった。それに、二人が一緒になれば、蓮のほうが我慢することが多くなるとも言われたらしい。琴子は、それが気に入らなかった。息子ばかりが気を遣うような関係など、母親として納得できるはずもない。できることなら、蓮のほうが大事にされてほしいと思っていた。そのことで琴子が家で何度も不満をこぼしていても、宗介は特に口を出さなかった。もともと、息子の恋愛にまで細かく口を挟むほうではなかった。蓮は昔から明るく、多少好き勝手にするところはあったが、家族を困らせるようなことはほとんどなかった。この二年は琴子とぶつかっていたものの、仕事は順調だった。宗介も会食の席で蓮の会社を褒められることが増え、息子がうまくやっていることを内心では喜んでいた。琴子とのことも、宗介が何度か電話をかけて様子を聞いた程度だった。そのたびに蓮は、放っておいてくれ、ちゃんと分かっているからと答え、宗介がなおも話を続けようとすると電話を切った。夫婦が、いざとなれば金を止めればいいと思い始めた頃には、蓮はもう親に頼らずやっていけるようになっていた。仮に困ることがあっても、蓮には湊という頼れる相手もいた。今となっては、金のことで蓮に言うことを聞かせるのも無理だった。宗介は眉をひそめた。「何があったにしても、もう少し落ち着いて話せないのか。母さんだって、お前のためを思ってやったことだろう。少しくらい家族の気持ちも考えてやれ」目を赤くした蓮は、宗介をまっすぐ見た。「無理だよ。あんなことまでしておいて、それでも母さんの気持ちを分かれって言われても、俺には納得できない。俺は今でも凛が好きだ。凛に好きになってもらうまで、あれだけ時間がかか

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    蓮が家に顔を見せるのは、ずいぶん久しぶりだった。リビングにいた琴子は、入ってきた蓮を見るなり勢いよく立ち上がった。「蓮、やっと帰ってきたのね!もうお母さんのことなんて忘れたのかと思ったわよ!」琴子はこれまで、これといって苦労をしたことがなかった。蓮も以前は、母は少し世間知らずで、何でもいいほうに考える人なのだと思っていた。だから、まさか凛にあそこまでしていたとは思いもしなかった。琴子が手を伸ばしてきたが、蓮はさりげなく身を引いた。ちょうどそこへ、書斎から浩介と宗介が出てきた。宗介はリビングにいる蓮を見るなり、眉をひそめた。「やっと帰ってきたか。まったく、いつまで家を空けるつもりだったんだ。外のほうがそんなに居心地いいのか?」浩介は蓮を一瞥すると、すぐに玉希へ目をやった。何があった、と問いかけるような視線に、玉希は小さく首を振った。先日の食事では、蓮はもう家には戻らないと言い切っていた。それが突然帰ってきたのだから、何かあったと思うのも無理はなかった。玉希も気が気ではなかった。二階へ上がってしまおうかとも思ったが、このまま離れるのも心配で、結局その場に残った。蓮はそんな二人には構わず、琴子へ向き直った。「母さん。何年か前、凛の家族に金を渡したこと、あるよな?」琴子の表情が一瞬だけこわばったが、すぐに口元を歪めた。「文太さんが何度もうちに来たのよ。来るたびに、結婚はいつだ、式はいつだって、そればっかり。しまいには結納金の話まで持ち出してきたの。まだ何も決まってないうちからお金の話なんて、普通じゃないでしょう?あの家、みんなお金のことしか頭にないのよ。あなたとは合わないわ」「凛が家族とうまくいってないの、知ってただろ。それなのに、なんであの人に金を渡した?金を渡しただけならまだしも、そのことを持ち出して凛まで傷つける必要があったのか?」琴子は鼻で笑った。「あなたには分からないでしょうけど、あの子がどこまで本気なのか見ておきたかっただけよ。だいたい、実の親とあそこまでこじれるなんて、普通じゃないでしょう。向こうにだけ問題があるとも思えないし。そんな状態で結婚したって、うちとうまくやっていけるとは思えなかったのよ」蓮は疲れ切った顔で琴子を見た。「じゃあ、なんで凛にあんなものまで浴びせた

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