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第8話

Author: かけるに
礼都の秘書である唐沢は、すでに待機していた。

「秋谷さん、どうぞこちらへ」

梨沙は礼儀正しく頷き、望の手を引いて邸宅の中へ足を踏み入れる。

吹き抜けになった十数メートルもの高さのロビーを抜け、黒革のソファの前まで案内された。

唐沢が手を差し示す。

「少々お待ちください。土岐様は書斎にいらっしゃいますので、お呼びしてまいります」

「わかりました」

梨沙は望を連れてソファに腰を下ろした。

望は三メートルはありそうなシャンデリアを見上げ、小声で呟く。

「ママ、ここすごくきれい......!」

梨沙は微笑み、望の耳を軽くつまんだ。

「そうね」

望はさらに尋ねる。

「ここに住んでる人って、ママのお友達?」

梨沙は少し考えてから答えた。

「ママのお友達じゃないわ。ママを助けてくれた優しい人。望の――」

そこまで言いかけた時。

二階から足音が響いた。

梨沙は反射的に立ち上がる。

振り向いた彼女の視界に最初に入ったのは、階段を降りてくる礼都の長い脚だった。

仕立ての良いスラックスに包まれた脚は、無駄なく引き締まり、力強い。

絨毯敷きの階段を踏む音は重すぎず軽す
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