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第309話

Auteur: 白川 露
真帆は芸術の世界に詳しいわけではない。それでも、冬橋大和という名前だけは一度や二度ではなく耳にしたことがあった。

弁護士をしていた頃、未成年のファンが起こしたトラブルに関する事件を担当したことがある。

その時、追われる側だった著名人こそが、冬橋大和だった。

だが、ネット上に出回っている情報はあまりにも少なく、当時はあらゆる人脈を使って調べても、その正体も素顔も突き止められなかった。

市場には冬橋大和の作品が実際に流通していた。だから実在する人物なのだとは分かっていた。それでも、本気で「その少女が作り上げた架空の人物なのではないか」と疑ったほどだった。

それから何年も経って、まさかここで再びその名を耳にするとは思ってもいなかった。

しかも世間で名を馳せる冬橋大和は、噂されていたような老芸術家でも隠遁した人物でもなく、まだ成人したばかりにしか見えない青年だった。

そう思えば、さっき庭で見た絵にどこか見覚えがあったのも頷ける。あれこそ、冬橋大和ならではの画風だった。儚く繊細で、乱雑さの中にどこか空虚さを宿した作品。

ただ……

冬橋大和という名前だけでなく、「大和」という名前
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