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第206話

Author: 玉酒
武の声は大きくも小さくもなく、ちょうど二人の耳に届く程度だ。

その口調には年配者らしい諭しが滲んでいる。「外のことばかり気にするな。縁というものは神様が与えるものだ。今隣にいる人こそ、最後まで共に歩む相手になるんだ」

美穂は礼儀正しい笑みを保ったまま、心には何の波も立てなかった。

だが、ふと顔を向けた瞬間、和彦の穏やかで波立たぬ瞳とぶつかった。

彼は言葉の裏の意味に気づかぬ様子で、自然に会話を引き継いだ。「菅原おじい様の言う通りです。ただ、彼女には本当に助けられました。機会があれば、改めて紹介させていただきます」

名を挙げずとも、誰のことを指しているのかは皆分かっていた。

和彦の言う「彼女」とは、美羽のことだ。

美穂の笑みは一瞬で固まった。

彼のその言葉、まるで公然と美穂の顔を殴ったみたいなものだ。

武の顔色がさっと曇り、杖で床を「コン」と叩いた。「馬鹿なことを言うんじゃない!」

和彦は冷ややかに目を伏せ、感情の読めぬ声で答えた。「きっと、そのうち彼女の良さが分かりますよ」

「良さ」というたった一言が、武の胸に針のように刺さり、白い髭が震えた。

彼は和彦の成長を見守ってきた人間であり、心から和彦の幸せを願っている。だからこそ、少しでも間違えぬよう忠告をしたのだ。

だが、この男は――まるであの反抗的な孫娘と同じ。人を怒らせることしかできない!

武は和彦を指差し、隣で淡々とした表情で、まるでもう慣れているかのような美穂を見やり、腹を立てて源朔の腕を引っ張りながら言った。「もう知らん!この老いぼれの言うことなんぞ、誰も聞かんのだ!行くぞ、源朔!見なければ腹も立たん!」

そう吐き捨てて席を立ち、怒気を背に去っていった。

美穂は一瞬呆然としたが、すぐに我に返り、和彦の顔色など構わず、武を追いかけて謝った。

――いつもこうだ。

問題を起こすのは彼なのに、後始末をするのはいつも自分。

だが放っておけば、菅原家が本気になった時に損をするのは結局、自分自身だ。

……

宴会が終わるころには、すでに夜も更けていた。

美穂は黙ったまま、和彦の車に乗り込んだ。

老人の機嫌を取るというのは、思っている以上に骨が折れることだ。

とくに、武のように称賛に慣れた人間には、どれほど丁寧に言葉を尽くしても、最初から「気に入られるように振る舞う」以外の道はな
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Comments (3)
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カナリア
早く離婚しろよ 字も書けんのか?
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こくう
決定打 さよなら和彦 かっこ悪いままだったね
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hime kichi
こいつ最低やな。こういう話に出る浮気男はみんな女を見る目がない。
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