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26・冷酷王

مؤلف: 揚羽渓名
last update تاريخ النشر: 2026-07-06 19:30:39

 しばらく私達は無言で歩いていたけれど、やがてオズワルドが一軒の店の前で立ち止まった。店を見上げると、そこには雑貨屋の看板がかかっている。

「ここ?」

「ああ。行くぞ」

 少しだけオズワルドの手に力がこもった。何故か少しだけ緊張しているようだ。その理由はその後、すぐに分かった。

「い、いらっしゃいませ、王」

「ああ」

「今日はどのようなご要件で……いえ! 失礼しました!」

「そんなに緊張しなくて良い。別に視察に来た訳じゃない。歯ブラシを見に来ただけだ」

「さ、さようでございますか……」

 そう言ってお店の人がビクビクしながらオズワルドから距離を取っていく。こういう態度を取られるから、オズワルドも少し緊張していたようだ。

「ね、ね、日用品はあっちみたいだよ!」

 何だかそんなオズワルドが可哀想で私が手を引っ張ると、オズワルドもお店の人もホッとしたような顔をしている。

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    「このサロンの本当の目的は、没落してしまった貴族の子たちの縁組サロンなのよ」「マ、マッチングサロン⁉」「? 巷ではそう言うの?」「あ、いえ。えっと、続けてください」「そう? このサロンが出来る前は貴族が没落したらそれこそ女は花街に立つしかなくてね。元貴族のお嬢様がそんな所へ下りてくるなんて庶民には高嶺の花の存在の上に、恨みを持っている人も多い。だからそれはもう酷い扱いを受けていたのよ。だからオズワルド王がこのサロンを作ったの。ある人の為に」「ある人?」「ええ。王の幼馴染で、公爵家のお嬢様のジャンヌ様って言う方よ」「ジャンヌ様……」「でもジャンヌ様は三年前に隣国に嫁いで行かれたわ。ちょうど私がここの管理人になった時に」「嫁いじゃったんですか⁉ しかも三年前⁉」 それはもしや、あの事件の発端になった出来事なのでは? 思わず私が身を乗り出すと、オリガはゆっくりと頷いた。「そうなの。王がここへ来なくなった時期と同じ時期よ。元々王はジャンヌ様の為にこのサロンを作ったようなものだって聞いてるわ。けれどジャンヌ様は周遊に来ていた隣国の王の子を身籠ってしまった」「……まさかの出来ちゃった結婚……」「ジャンヌ様も王もそれから塞いでしまわれて……あ、でもジャンヌ様は今は幸せそうよ。隣国の王はとても良い方で大切にしてくれているそうだから」「でも、うちの王は……」「……毎日のようにいらっしゃっていたのに、その事があってからぱったりと来なくなってしまったの。それまでは王の相手はほとんどジャンヌ様がしていたんだけど、子どもは一切出来なかった。けれど不思議なものね。たった一晩隣国の王子のお相手をしただけで、ジャンヌ様は妊娠してしまったの。その事を王がどう思われたのか、私達には想像もつかないわ」 そう言ってオリガは視線を伏せた。 なるほど。オズワルドがある日突

  • 冷酷王の知られざる秘密   51・サロンの成り立ち

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     私はそんなオズワルドを横目にカウンターバーに行って色々とお酒を眺める。ここには本当に色んなお酒が揃っていて見ているだけでも楽しい。「ねぇオズワルド、ちょっと部屋出てもいい?」「構わないが、どこへ何しに行くつもりだ?」 本から顔も挙げずにそんな事を言うオズワルドに私は頬を膨らませて言い返す。「厨房だよ! ちょと果物貰ってこようと思って。駄目?」「厨房か。厨房はこの部屋を出て廊下の突き当りを右だ」「分かった! ありがとう」 私は意気揚々と部屋を出て長い廊下を歩く。昨夜見た時は何だか雰囲気のある廊下だと思ったが、明るい所で歩くと全然違って良い。 景色を見ながら廊下を進んでいると、昨日のロビーのような場所にたどり着いた。そこでは今日も美しいオリガが眼鏡をかけて書類をまとめている。「おはようございます」「ん? ああ、ダリアちゃん。おはよう。王は?」「今は読書中です」「そう。お休みの日をここで過ごされるのも三年ぶりねぇ」 そう言ってオリガは眼鏡を外して懐かしそうに目を細める。「それまでは王はここでしょっちゅうお休みされてたんですか?」「ええ。ここはサロンだからね。お休みの日は王は一人でここで過ごされていたわ。でもそれは王だけじゃないわね。他の方達も結構お休みに利用されるのよ」「そうなんですか」「そうなの。ところでダリアちゃん、今日のご予定は?」「今日は王がたまにはここで大人しく休めって脅してくるので、大人しくしてるつもりです。あ、でもお仕事あったら働きます!」「お仕事は大体夜だから安心して。それよりも王が自分の部屋で休めって?」「はい。多分私の行動を怪しんでるんだと思います!」「えっと、それはどういう事?」「野放しにしておくと、どこで男を襲うか分からないと思われてるんだと思います!」「……そうなの。なら今日はゆっくり王に監視されていなさいね」「はぁい!」

  • 冷酷王の知られざる秘密   47・王の貴重な休日

     気がつくと私はオズワルドに抱きかかえられた状態でベッドに居た。そして相変わらずナイトドレスのボタンはきっちり一番上まで閉まっている。「あー……あのまま寝ちゃったのかぁ……」 眠い目を擦りながらぽつりと言うと、それまで固く目を閉じていたオズワルドがうっすらと目を開けた。「……お前、王を差し置いて風呂で寝るとは、良い度胸だな」「ごめんってば! ちゃんと服とか着せてくれたんだね」「仕方ないだろう? 素っ裸のまま風呂に放置など出来ないだろうが」「はは、確かに」「正しくは、身体も洗ったし頭も洗った。乾かして服を着せた、だ。感謝しろ」「えっ⁉」 まさかそこまでしてくれているとは思ってもいなくて思わずオズワルドを凝視すると、オズワルドは少しだけ怯んだように引きつる。「いや、冗談だぞ? 信じるなよ?」「なんだ、びっくりした……そんな献身的な人なのかって思っちゃった」「冷酷王と呼ばれている人間が、そんな事すると思うか?」「思わないけど、オズワルドは全然冷酷じゃないじゃん。皆の勝手なイメージだよ」 言いながら私はベッドから下りると、水差しに入っていた水をグラスに注いで一つをオズワルドに手渡した。「はい、どうぞ」「ああ、すまない」 水を受け取ったオズワルドはそれを一気に飲み干して自分もベッドから出てくる。「朝ご飯とかってどうしたらいいの?」「ん? ああ、あれを使え」 そう言ってオズワルドが指さした先に置いてあったのは、昔懐かしいダイヤル式の電話だ。しかも何だかお洒落である。「凄い! 懐かしい!」「懐かしい?」「うん。私の時代にもこれあったんだよ。まぁ、とは言えはるか昔の事だけどさ」 何だか意外な所でレトロな物に出会ってしまって思わず嬉しくなった私は、受話器を取ってオズワルドを見上げた。そんな私

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