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第19話

Author: 九美
明彦と陽彩が再びこの海辺の町に姿を現したのは、あれから一ヶ月後のことだった。その佇まいは以前とは見違えるほどに変わり果てている。

しかし、彼らを迎えたのは、佳苗の変わらぬ冷徹さと、深い嫌悪の眼差しだけだった。

明彦はかろうじて高慢な外面を保とうとしていたが、その瞳に宿る切実な期待が、彼の威圧的な気配を和らげていた。

陽彩はびくびくと首をすくめ、か細い声で「ママ」と呼んだ。

佳苗は冷笑を浮かべ、踵を返してドアを閉めようとした。

明彦は慌てて手を伸ばし、絞り出すように懇願した。「佳苗、少し話せないか?」

彼女が何の反応も示さないのを見て、さらに焦って付け足す。「少しの時間でいいんだ」

佳苗の心には、すでに彼らに対する深刻な拒絶反応が根付いており、顔を合わせることすら苦痛だった。

あの生き地獄のような日々を経て、彼女はようやく「自分自身を愛する」ことの意味を知ったのだ。

明彦がどんなに言葉を尽くそうと、もう二度とあの場所へ戻ることはない。

あの父娘から離れて初めて、佳苗は「生きる」ことの本当の喜びを知ったのだから。

佳苗は腕時計に目をやり、ドアに鍵をかけると、無感情に言
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