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第294話

Author: 青ノ序
「きゃあ!」

急ブレーキで車が停まった。美羽は悲鳴を上げた。

綾はショックで体が震える中、美羽の様子を確認した。

「美羽さん、どこかぶつけましたか?」

「大丈夫」

美羽は首を振り、怯えた様子で車の外を見た。

車の前には威厳のある白髪の老人が立っていた。宗介だろう。

「待ってください、外を見てきます」

マルスは車を降り、ドアをロックした。

「何のつもりですか?」

「それはこちらの台詞だ。娘をどこへ連れて行く気だ?」

宗介は杖をつき、余裕の笑みでマルスを睨みつけた。

マルスは一歩も引かない。「娘さんだとしても、本人の意思を無視していい理由にはなりません」

宗介は鼻で笑うと、マルスを無視して車の窓をノックした。

「美羽、余計な騒ぎを起こしたくなければ大人しく戻れ」

余計な騒ぎ?

美羽は綾を見た。宗介の言葉の意味をすぐに悟った。

しかし、綾は憤った。「そんな脅しに屈しないでください、美羽さん!」

颯太や樹はまだ穏やかだったが、この宗介だけは全く話が通じない。

綾は宗介のやり方を知らなかったが、美羽は違った。

杉本家の体面を守るためなら、宗介はどんな非情な
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