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第530話

Author: 青ノ序
「俺のだ」

健吾が廊下の角に現れた。背が高く、凛々しい立ち姿だ。

「ビアンカ、明里を部屋に連れて行って休ませてくれ」

彼の顔は冷たく、その声には断固とした威圧感があった。ビアンカは慌てて明里を連れ出し、反対側へと歩いて行った。

バタン、とドアが閉まる音が二回した。廊下から明里たちの気配が消え、静寂の中で二人が視線をぶつけ合う。

綾は数歩下がり、自室へ引き返した。

大きな力強い手がドアを押し開け、彼は強引に部屋へ入ってきた。

綾は冷ややかに言い放つ。「出て行って」

健吾はドアを閉め、苦笑交じりに言う。「ここは俺の家だ。誰に出て行けと言っている?」

表面上は冷静を装っても、心臓が口から飛び出しそうだった。

久しぶりにこんなに近くにいる。邪魔者はいない。二人だけの場所だ。

「そうね。出て行くべきなのは私だったわね」

綾は冷たく笑うと、そのまま出口へ向かった。

窓の外で舞う雪が彼女の心にも降り積もり、冷たい水となって全身に広がる。骨の芯まで凍りつきそうだ。

ドアノブに手が触れる前に、男の力強い腕が綾を抱き留めた。

広い胸板が繭のように綾を包み、逃がすまいと抱きしめ
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