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第619話

Author: 青ノ序
健吾が腰を下ろして、ミニカーを床に安定させて前へ突き出すと、車は勢いよく走り去った。

壮真は大喜びで声を上げ、てちてちと追いかけていき、また車を拾って健吾に持ってきた。

こんな単純な遊びを繰り返し、リビングには壮真の楽しげな笑い声が満ちていた。

瑞希はそれとは対照的にソファの前でお行儀よく立ち、点図ペンを手に取って絵本を一生懸命読んでいた。

ページを読み終えるのを待ちきれない様子で次々とめくり、真剣な眼差しを向けている。

綾はその様子を見守っていた。この子は本当に本が好きで、小さな手でページをめくり、意味のない言葉をつぶやきながら本に向き合う姿が、いじらしくてたまらない。

視線を戻した綾は、幸子を手伝うためにキッチンへ向かった。

湯気の立つコンロの前で二人が雑談に興じていると、いつの間にやら湊の話になっていた。

鍋の中をかき混ぜていた幸子が、不安げな表情でつぶやく。「湊様の体調が心配ですね」

綾は小さく息を吐いた。「湊、考えすぎてしまうのよ。もっと気楽に生きられたら、きっと体も良くなると思うんだけど」

「もうすぐ、誠様も出所なさるでしょう。お二人が何も揉めなきゃいい
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