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第641話

Author: 青ノ序
「またからかって」

明里は少し笑い、サイドミラーに視線をやった。

「健吾の車が後ろをついてきてるわ。ここで降りて。家まで送り届けるのはやめとくね」

綾は明里の視線を追ってミラーを見た。見慣れた黒い車が映り、こくりとうなずいた。

綾は運転手に声をかけ、車をゆっくりと脇に寄せた。後ろの車もそれに倣って止まる。

綾は明里の車を降りると、後ろの車に向かって歩いていった。

黒い車のドアはあらかじめ開けられており、自分を待っているかのようだった。

後部座席に座ると、隣の男性から漂う、凛とした香りが辺りを包み込んだ。

マルスが再び車を発進させ、二人の暮らす街へと静かに走り出す。

綾は腕時計を一瞥した。「そのまま帰るんじゃなくて、ヘアセットをしてドレスも買いたいんだけど」

もしドレスが体に合わなくてお直しが必要なら、家で昼食を食べる時間はない。

健吾は顔を傾けてずっと綾を見ていた。穏やかな表情で、ふっと口元を緩める。「いいよ、付き合う」

マルスは車の向きを変え、高級ドレス店へとハンドルを切った。

綾はしばらくこういうパーティーから遠ざかっていた。少し緊張した面持ちで、控えめに
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