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第10話

Author: 腹黒キャラ
「道言!嘘つけ!」

俺は笑みを消し、冷徹な視線で雅子を見下ろした。「そう思いたいなら、そうしていればいい」

一瞬で、面会室の空気が凍りついた。

雅子は青ざめた顔でその場に崩れ落ち、目に深い絶望が色濃くにじんだ。

しばらくして、もう何も言わないかと思ったその時、彼女がぱっと顔を上げた。

「琉生、あなたには何か方法があるんでしょう?

私はあなたの妻よ。あなたなら……私を助けられるはずよ」

彼女の目には、かすかな希望が灯っていた。

俺は小さく舌打ちし、嘲るように言った。

「どうして俺があなたを助けなければいけないんだ?取引をするなら、まずは誠意を見せろよ」

空気が再び張り詰める。

雅子が動かないのを見て、俺はしょうがなく首を横に振った。

あれほど誇り高かった彼女が、誰かに頭を下げるなんてあり得ないと思ったからだ。

――ドサッ。

雅子が、俺の目の前で両膝をつき、その顔は屈辱で歪んでいた。

「琉生、お願い……助けて……まだ死にたくない!」

俺は一瞬固まり、そして胸の奥で、滑稽さと怒りが沸き上がった。

雅子のような人間が、死を恐れるなんて。死の恐怖に負けて、あの誇りを折り、俺に命乞いをするなんて。

「秦、今のお前……尻尾を振ってすがりつく犬みたいだな」

雅子の身体が強張り、額は床に押しつけられたままだった。

彼女はかすれた声で、必死に懇願した。

「琉生……頼む……助けて……」

俺は笑いすぎて、涙がこぼれそうになった。

あの時、俺は今の彼女と同じように跪き、救いを求めたのだ。

だが彼女はどうした?俺をもっと深い地獄へ突き落とした。

「こっちは犬みたいに跪けば許す、なんて言ってないよ!」

「道言琉生!!」

雅子は激怒し、拳で防弾ガラスを殴りつけた。

拳から血がしたたり落ちたが、防弾ガラスは微動だにしない。

俺は身を乗り出し、冷たい笑みを浮かべた。

「雅子、前世で俺がお前に懇願した時……お前、一度でも情けをかけたか?」

雅子の顔色が一変した。

俺はその表情を愉しむように、言葉を続けた。

「お前は自分の手で俺を死に追いやった。だから俺は地獄から這い上がり、お前に命を返してもらいに来た……覚悟はできているか?」

彼女の目に宿る恐怖が、俺を大いに満足させた。

彼女は監視カメラに向かって叫び出す。

「道言琉生は狂ってる!
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