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第4話

Auteur: 魚骨
愛華は魂が抜けたように家に戻り、焼け焦げたディスクの汚れを丁寧に拭き取っていた。

「会社の株の10%を詩織の名義に移そうと思う。彼女は君のために三年間も自由を失ったんだ。彼女には生活の基盤を与えてやるべきだ」

恭平は、まるで天気の話でもするかのように平然と、そして拒絶を許さない固い意志を込めて言った。

愛華の火傷した指先が微かに縮こまったが、すぐに形見のディスクの汚れを拭き続ける作業に戻った。

愛華は落ち着いた様子で言った。「好きにすれば」

恭平は一瞬言葉を失った。用意していた言い訳が喉に詰まった。

この会社は、彼と愛華が共に築き上げ、七年かけて今の地位まで育て上げたものだった。

時々、冗談で「僕たちの最初の子供だ」と言い合ったものだ。

恭平は、愛華が同意しないだろう、それどころか大騒ぎするだろうとさえ思っていた。

彼は強硬に実行する覚悟を決めていたのだ。

その言葉を聞いて、恭平は大きく息を吐いた。心の中でどんな感情が渦巻いているのか、彼自身にも分からなかった。

「君が同意するなら、三日後の株主総会には詩織を連れて行く」

愛華は背後に立つ詩織が、自分に向けて得意げな笑みを浮かべているのを見た。

愛華は静かに視線を逸らし、無表情のまま母の形見を持って二階へ上がった。

愛華は恭平の愛を知っていた。燃えるように熱い心を目の前に捧げられた。しかし今、彼女はその熱さに全身を焼かれ、心に深い傷を負っていた。

彼がこんな選択を下した以上、彼女はもうここに居残る必要はない。

......

クリスタルシャンデリアが、宴会場全体を無数の菱形の冷たい光に切り分けていた。

詩織は恭平のパートナーとして、親密そうに恭平に寄り添っていた。

愛華がシャンパングラスを握る指先は血の色がなくなっていた。

詩織の首にかかるハイジュエリーは、去年、彼女と恭平が海外での記念日に、彼女が自らデザイン画を描き、特別にオーダーメイドしたものだった。

世界に一つだけのもの。

恭平の愛がそうであったように、今、別の女の首元で輝いている。

パーティーは賑わい、恭平と詩織はあっという間に人混みに消えた。愛華はただ早く終わってほしいと願うばかりだった。

電子スクリーンに映る恭平の姿を見た。彼の隣のパートナーは詩織だった。

突然、人混みの中から騒めきが起こり、詩織がよろめきながら人垣を押し分け、愛華の頬を思い切り叩いた。

愛華は呆然とし、頭がガンガンと鳴った。

詩織の肩には生々しい痕跡が露わになり、目は真っ赤だった。「もし気に入らないなら、私をクビにすればいいじゃない。どうして人を雇って私を侮辱するのよ?!」

人々はどよめき、愛華に向けられる視線は探るようなものに変わった。

恭平が人混みをかき分けて駆けつけ、詩織を痛ましげに見つめ、自分の上着を彼女の肩にかけた。

愛華は首を横に振り、無意識に否定した。「私じゃないわ!」

詩織は泣き崩れた。「あなたたち、お金があるからって、人のプライドを好き勝手に踏みにじっていいと思ってるの?」

恭平は手を振り上げ、愛華の頬を打った。愛華は顔を背け、口元から瞬時に血が滲んだ。

愛華は血の混じった唾を吐き出し、顔を上げて恭平をまっすぐに見つめた。「私たち、七年も一緒にいたのに、あなたは私を信じてくれないのね?」

前回の病院での一件以来、彼女はもうはっきりと分かっていた。

若かりし頃、無条件に自分の後ろに立ってくれた恭平は、もう死んでしまったのだ。

「七年も一緒にいたからこそ、君を庇うことはできない」

恭平は愛華を見つめ、その目は恐ろしいほど冷たかった。「愛華、謝れ」

周りの人々は口々に噂した。

「愛華さんって、いつもは穏やかな方なのに、どうしてこんな品のないことを?まさか人を雇って時田さんを傷つけようとするなんて」

誰かが応じた。「どんなに優しい人でも、旦那が囲ってる愛人の前では、嫉妬に狂った般若になるものよ......」

調査もされず、誰もが、愛華が詩織を陥れた犯人だと決めつけていた。

「防犯カメラの映像があるはずよ。どうしてそれを見に行かないの?!」

愛華は崩れ落ちるように否定した。「やってないことは、認めない!」

恭平は、愛華がこれほど激しく取り乱すのを見たことがなかった。

彼の眉がわずかに動いたその時、詩織が突然彼の腕の中で泣き崩れた。

「詩織!」

恭平の顔に慌てた表情が浮かんだ。

彼は愛華と争う余裕もなく、冷たく命じた。「彼女を地下室に連れて行け。彼女が過ちを悟るまで、行動を制限しろ!」

愛華は思わず一歩後ずさり、まるで目の前の人間を一度も理解していなかったかのように感じた。

愛華の声は震えていた。「忘れたの?私が閉所恐怖症だってこと!」

七歳の時、愛華と恭平は近所で遊んでいた。

偶然、西園寺家の敵に追われ、愛華は恭平を守るために誘拐され、光の差さない工場に丸三日間閉じ込められた。

食べ物も水もなく、愛華が救出された時にはもう半死半生の状態だった。

目を覚ますと重度の精神疾患を抱え、狭くて暗い部屋に一人でいることができなくなった。

毎晩寝る時でさえ、ベッドサイドには常夜灯を灯しておかなければならなかった。

恭平の声には冷たさが宿っていた。「前回の僕が甘すぎたせいで、君は自分の過ちを認識できなかったんだ。まさか詩織にこんなことをしたなんて!」

「愛華、君には本当にがっかりしたよ」

次の瞬間、愛華は二人のボディガードに乱暴に地下室へと引きずられていった。

最後に見たのは、恭平が詩織を抱きかかえて去っていく姿だった。

鉄の扉が重々しく閉ざされた瞬間、愛華は湿った地面に崩れ落ちた。

目眩が全身を覆い尽くした。

「やめて......」

愛華は隅にうずくまり、幼い頃の恐怖が彼女を強く包み込んだ。

冷や汗が全身を濡らし、胸の中の空気が見えない手に握りつぶされるように、その場から動けず、息もできなかった。

ついに、彼女の神経は崩壊した。

その目には、恐怖と絶望だけが満ちていた。

彼女は監視カメラの前に倒れ込み、何度も何度も土下座して懇願した。

「私が間違ってた、私が悪かった......」

「ごめんなさい、ごめんなさい......早くここから出して......」

「もういい!」恭平は愛華の繰り返される謝罪を遮った。「精神科医を連れてこい」

愛華が外に連れ出された時、意識はすでに朦朧としていた。

愛華には恭平の目に宿る気持ちが理解できなかった。彼女を地下室に入れた張本人なのに、なぜ後悔しているのだろう?

ベッドに横たわる詩織の目には、嫉妬の色が浮かんでいた。

詩織は、恭平にもっと非情になってほしかった。
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