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十八回裏切られ、私は消えた
十八回裏切られ、私は消えた
Auteur: 匿名

第1話

Auteur: 匿名
交際三年目、私・黒川美羽(くろかわ みう)は彼氏の白石紘也(しらいし ひろや)の浮気に気づいた。

電話口から、甘えたようであどけなさも残る女の声が聞こえた瞬間、分かってしまった。

今回の結婚式も、また駄目になるのだと。

紘也がまた私に、申し訳なさそうな目を向けてきたのを見て、見慣れた展開が再び始まったのだと悟った。

彼は困ったように、それでも揺るぎない口調で、あの言葉を口にした。

「ごめん、美羽。杏奈が訓練中に手首をひねった。すぐに見に行かないと」

客席にいる、事情を知らない大勢の招待客を見ながら、私は唇の端に苦い笑みを浮かべた。

「式はもうすぐ始まるのよ。それでも今、どうしても彼女のところへ行かなきゃいけないの?」

けれど私が言い終えるやいなや、紘也は不満そうに眉をひそめた。

「手首をひねったって、パイロットには結構まずいんだよ。俺は杏奈の教官なんだから、放っておけないだろ。それに、式なんてまた別の日にできる。こんな時くらい、分かってくれないか?」

氷のように冷たくなった紘也の表情を見て、胸の奥が思わず震えた。

紘也はもともと口数の少ない人だった。けれど有村杏奈(ありむら あんな)のこととなると、彼は別人のようによく喋った。

最初のうち、私はただ教官と訓練生の関係だから、彼女を少し特別に気にかけているだけだと思っていた。

でも後になって分かった。それは気遣いではなく、特別扱いだったのだ。

今にもこぼれ落ちそうな涙を必死にこらえ、私はほとんど懇願するような小さな声で言った。

「でも、これでもう18回目なの。紘也、私、もうこれ以上待てない。本当にお願いだから、式を終わらせてから行ってくれない?」

客席の招待客たちは、すでにひそひそと囁き合い始めていた。めでたいはずの日に、どうして花嫁がこんなにも悲しげな顔をしているのか、誰にも分からないのだ。

そのざわめきを耳にした紘也の声には、苛立ちがにじんだ。

「式なら、また日を改めればいいだろ?これまでだって何度も仕切り直してきたんだ。今回少し延びたくらいで、君の人生が終わるわけじゃないだろ。でも杏奈の手に後遺症でも残ったら、もう飛べなくなるかもしれない。君にその責任が取れるのか?」

彼は苛立ちを隠そうともせず、胸元のブートニアを外して足元に落とした。司会者も式場スタッフも言葉を失っていたが、彼はその視線を無視して、足早に会場を出ていった。

その瞬間、私はようやく思い知った。この恋の中で、自分がどれほど惨めな立場にいたのかを。

必死に引き止めれば、せめて一度くらい紘也の心を引き戻せると思っていた。けれど現実は、何度も何度も私の目を覚まさせた。紘也は、私の気持ちなどまるで気にしていなかったのだ。

私は崩れ落ちそうな感情を必死に支えながら、招待客たちに帰ってもらった。

あちこちから、ひそひそとした声が耳に入ってきた。

「なんだ、結局、美羽ってただの都合のいい女じゃない。パイロットの彼氏がいるって、ちょっと自慢げだったのにね」

「ほんとそれ。向こうは最初から結婚する気なんてないみたいじゃない。見てるこっちが恥ずかしくなるよね」

私は冷たく笑った。付き合って三年、そんな言葉はもう聞き飽きていた。

誰もが私を「都合のいい女」だと言った。両親でさえ、そんな私に呆れ、失望していた。

それでも私は、紘也は本当は私を愛しているのだと信じ続け、この恋をどうしても手放せずにいた。

けれど、今になって思えば。みんなが言っていたことは、最初から本当だったのだ。

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