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第3章

Autor: ベリーラディッシュ
私は遥の投稿に「いいね」を押した。

数分もしないうちに遥から電話がかかってきた。どこか後ろめたそうな声だった。

「寧々、投稿見た?勘違いしないでね。ただふざけて写真を撮ってただけだから」

私は何も答えなかった。遥は慌てて言葉を続ける。

「大丈夫。先生には見えないようにしてあるから」

母が見たら何か思うかもしれない。そのことくらいは、遥にもわかっていたらしい。

でも遥は知らない。母はもう二度と何かを見ることはできない。

電話の向こうで、遥はまだ話し続けていた。

「寧々、清人と意地を張り合うのはやめなよ。私からもちゃんと言っておいたから。今度はもっといい会場を探そう。それで絶対、先生の願いを叶えようよ。先生は私にとってもすごく大切な人だもん」

その言葉を聞いた瞬間、胸が締めつけられた。息をするのさえ苦しかった。

遥も母の教え子だった。

遥の家は息子ばかりを可愛がり、娘である遥にはまともに食事すら与えないことがあった。

母は何度も、誰にも知られないように遥のICカードへお金を入れていた。

高校三年生の頃、家族から学校を辞めて働けと言われた遥のために、母は三度も彼女の家へ足を運んだ。

遥の代わりに怒って、頭を下げて、必死に家族を説得した。

そうしてようやく、遥は学校に通い続けることができたのだ。

あの日、遥は母に抱きついて泣いていた。

「先生……先生のほうが、私の本当のお母さんみたい」

そう言っていた。

なのに今、母が娘のように可愛がってきた遥は、私が用意したブライズメイドのドレスを着て、私の恋人と丸一日遊び歩いていた。

そして、母に見えなければいいだろう、と言う。

遥の声はまだ止まらない。

「寧々、考えすぎだよ。コメントしてる人たちだって、ただふざけてるだけじゃん。嫌なら投稿は消すから。でも清人とは喧嘩しないで。今日はもう、清人もすごく疲れてるんだから」

目の奥がひどく痛んだ。もうこれ以上彼女の一方的な言い分を聞いていたくなかった。

私はそのまま電話を切った。

ソファに座り、母が残したわずかな遺品を眺める。声すら出ないほど泣いた。

どれくらい経ったのだろう。再びスマホの画面が光った。

清人からだった。

【気が済んだなら、帰ってきて謝れ】

【遥が泣いてる。せっかくお前を慰めようとしてくれたのに、その態度はないだろ】

【先生だって、今のお前を見たくはないはずだ】

画面をじっと見つめた。その瞬間、これまでの年月すべてが馬鹿馬鹿しく思えた。

遥が泣けば、一大事。

私の母が死んでも、私はただの恩知らずでわがままな女らしい。

荷造りには三十分もかからなかった。

考えてみれば滑稽な話だった。ここは私と清人が二人で暮らしている家なのに、私よりも遥の物のほうが多い。

浴室、クローゼット、冷蔵庫。家のあちこちに、遥の痕跡が残っている。

寝室のベッド脇の引き出しからは、遥のヘアゴムまで出てきた。

それを手にしたまま、私はしばらく動けなかった。昔のことを思い出す。

遥も清人も、母の教え子だった。

けれど二人は昔から相性が悪く、顔を合わせればすぐに言い合いになった。三言話せば、二言は喧嘩しているような二人だった。

母はいつも料理をよそいながら、呆れたように仲裁していた。

「二人ともいい子なんだから、そんなに喧嘩しないの。清人くんは男の子なんだから、少しくらい遥ちゃんに譲ってあげなさい。遥ちゃんもそんなに意地を張らないの」

そして私にも言った。

「寧々はここの家の子なんだから、二人のことをちゃんともてなしてあげてね」

あの頃は、本当ににぎやかな家だと思っていた。

好きな人と、一番の親友と、母と、みんなで同じ食卓を囲んでいた。

いつからだろう。二人の間に、私だけが入れない何かが生まれていた。

遥が残業で遅くなれば、清人は迎えに行った。

雨の日に遥が傘を忘れれば、私が気づくより先に清人が心配していた。

遥が失恋して酔いつぶれれば、清人は夜中まで話に付き合った。

私が不満を口にするたび、清人は決まってこう言った。

「遥はお前の親友だろ。お前の友達だから、俺だって気にかけてるだけだ。それなのに遥に嫉妬するのか?寧々、心狭すぎるだろ」

遥も目を赤くして言った。

「寧々……もう私とは友達でいたくないの?」

そう言われるたび、結局謝るのは私だった。

恋人を失うのが怖かった。親友を失うのも怖かった。そして何より、母に心配をかけたくなかった。

だが結局私は何一つ守れなかった。

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  • 叶わなかった願い、待ち人は来なかった   第13章

    私は短く返した。「そうなんだ」遥の近況は共通の知人から聞いた。会社を解雇されてから、精神的にかなり不安定になっているらしい。教員採用試験を受けようとしたものの、あの一件の噂が広まっていて、面接になるたびに取り乱してしまうという。母校へ行くこともできない。誰かに遥ちゃんと呼ばれることさえ怖がるようになった。母が昔、いつも優しくそう呼んでいたから。かわいそうだと言う人もいた。私は何も答えなかった。かわいそう?病室で最後まで二人を待ち続けた母は、かわいそうじゃなかったの?ウェディングドレスを着たまま、一人で母を見送った私は?人は自分のしたことに対して、いつかは代償を払わなければならない。それから一年が過ぎた。私はようやく一度、故郷へ帰った。その日は母の命日だった。母が一番好きだったユリの花束と、一枚の写真を持っていった。写真に写っているのは海。生きている間に母が見ることのできなかった景色を、私は代わりに何度も見てきた。墓地は以前とほとんど変わっていなかった。ただ、母の墓石の周辺には、何度も掃除されたような跡が残っていた。管理人が教えてくれた。この一年、何度も一組の男女がやって来たという。来るたびに、長い時間跪いていたらしい。でも私は以前、あの二人を墓石に近づけないでください、と頼んでいた。だから二人は、いつも遠くから跪くしかなかった。風の日も。雨の日も。雪の日も。何度来てもそのたびに止められた。私は聞き終えると、ただ頷いた。「これからも同じように、二人を近づけないでください」管理人はわかりましたと答えた。私は母の墓前にユリを供え、墓石をきれいに拭いた。「お母さん、ただいま。会いに来たよ。私、今はちゃんと元気に暮らしてる。試験にも受かったよ。先生になったの。クラスにね、子供の頃の私にちょっと似てる女の子がいるんだ。意地っ張りなのに、一人になるのがすごく怖い子。だから、少しだけ気にかけてあげようと思ってる」話しているうちに目の奥が熱くなった。「だから安心して。私はもう、過去に囚われてないよ。でもお母さんの代わりに、あの二人を許すことは絶対にしない」そのとき、背後から必死に押し殺したような泣き声が聞こえた。私は振り返らなかった。誰なのかわかっていたから。

  • 叶わなかった願い、待ち人は来なかった   第12章

    私は止めなかった。かわいそうだとも思わなかった。ただ、冷たい目で見下ろしていた。「遥」泣き濡れた顔で遥が私を見上げる。私は一言ずつ、はっきりと言った。「ここで芝居しないで。お母さんが見たら、気分悪くなるから」遥の体が凍りついた。泣き声まで喉の奥で止まる。私は歩み寄り、遥が墓前に供えた花を手に取った。そして清人が持っていた花も取り上げると、まとめて近くのゴミ箱へ捨てた。二人の顔から同時に血の気が引いた。私は母の墓石の前に立った。声を張り上げたわけではないが、十分にはっきり届く声で告げた。「帰って。もう二度と、お母さんを煩わせないで。私の前にも現れないで。二人にお母さんの許しを求める資格なんてないから」清人が目を真っ赤にして私を見た。「寧々……俺は、お前を愛してる」私はずっとその言葉を聞きたかった。清人は滅多に愛してるなんて言わない人だった。気持ちは口で言うものじゃない、といつもそう言っていた。だからたまに優しくされるだけで嬉しかった。ほんの少しもらった優しさを大切に抱えて、何度も思い返していた。でも今、ずっと待ち望んでいた言葉を聞いても、心は少しも揺れなかった。ただ滑稽だと思った。「清人。あなたが愛してるのは私じゃない。いつまでもあなたを待ってくれる人。何をしても許してくれる人。いつだって、あなたを自分の世界の中心に置いてくれる人。あなたが愛してるのは、そういう存在でしょ。でもそんな人はもう死んだの。お母さんも昔の私ももういない」清人の目から涙が落ちた。大きな体がふらりと揺れ、立っていることさえ難しそうだった。私はもう彼を見なかった。母の墓前にしゃがみ、ティッシュで墓石についた汚れをそっと拭った。「お母さん、大丈夫だよ。もうこの二人には邪魔させないから」風が吹いた。まるで、寧々、それでいいのよ、と言ってくれているようだった。街を離れる日、清人は空港まで見送りに来た。遠く離れたところに立ち、手には茶封筒を持っている。私が荷物を預け終えると、ようやく近づいてきた。「寧々、これ、昔、先生が俺のために立て替えてくれた治療費だ。当時から今までの分を考えて、利息もつけた。それと、カードも入ってる。暗証番号はお前の誕生日。受け取らないのはわかってる。それでも渡したかった」

  • 叶わなかった願い、待ち人は来なかった   第11章

    母がいなくなったこの街には、どこに行っても母の面影が残っていた。商店街にはいつも母が野菜を買っていた店がある。バス停を見れば、放課後の私を迎えに来てくれた日のことを思い出す。マンションの下に植えられたキンモクセイは、母が一番好きな香りだった。今の私には、それらと向き合うだけの力がなかった。ただ場所を変えて、もう一度生きてみたかった。街を離れる前、私は母のお墓へ向かった。墓地は静かだった。風が松の枝を揺らし、さらさらと音を立てている。墓前にユリの花束を置いた。「お母さん、私、行くね。南の方の少し暖かい街に行くの。昔、退職したら海を見に行きたいって言ってたでしょ?私が代わりに見てくるから」私は墓石にもたれ、しばらく母に話しかけた。清人と暮らしていた家にあった物を処分したこと、仕事を辞めたこと、教員採用試験を受けることにしたこと。母は生涯教師として生きた。昔の私はいつも、先生なんて大変なだけだと思っていた。でも今になって少しわかった気がする。母のような人は、自分が持っている光を、誰かに分けずにはいられないのだ。私もやってみたいと思った。たとえ一人の子供にしか届かなくても、その子の人生を少しでも明るくできたら、母が残した優しさを、私なりに受け継いでいける気がした。そろそろ帰ろうと立ち上がったとき、背後から足音が聞こえた。振り返ると、清人と遥が立っていた。二人ともずいぶん痩せていた。清人は無精ひげを生やし、目の下は深く落ちくぼんでいる。遥はさらにやつれ、まるで色あせた紙のようだった。二人とも花束を抱えている。私を見つけた瞬間、同時に足を止めた。清人の目がすぐに赤くなる。「寧々……」私は立ち上がると、母の墓石をかばうように前へ立った。「誰が来ていいって言った?」清人の喉が小さく動いた。「ただ先生に会いたかった。ちゃんと謝りたくて……」遥も泣きながら口を開いた。「寧々、私、先生の夢を見たの。夢の中でも、先生は昔みたいに私を見てた。もう耐えられないの。先生に頭を下げて謝りたい……」二人が持っている花束を見つめる。ただ滑稽だった。母が生きている間には、一束の花さえ届かなかったのに、死んでから墓前を花で埋め尽くして、それに何の意味があるのだろう。清人が一歩前へ出た。私はすぐに

  • 叶わなかった願い、待ち人は来なかった   第10章

    私は扉を開けなかった。すると清人は外から何度も何度も私の名前を呼んだ。「寧々、俺は知らなかったんだ。遥がわざとやったなんて、本当に知らなかった。ただ怖がってるだけだと思ってた。少しくらい遅れても、まだ間に合うと思ってたんだ。俺が悪かった。本当に……俺が悪かった」声は次第にかすれていった。最後にはほとんど泣きながら叫んでいた。「扉を開けてくれ。怒鳴ってもいい。殴ってもいい。お願いだから、無視しないでくれ……」私は扉の内側に座っていた。腕の中に母のアルバムを抱えたまま一歩も動かなかった。外からは清人が必死に声を殺して泣く音が聞こえた。清人がこんなふうに泣くのを私は初めて聞いた。昔からプライドの高い人だった。どれほど苦しいときでも、目を赤くして歯を食いしばり耐えていた。以前清人は、泣いたって何も変わらない、前を向くしかない、とも言っていた。その清人が今は、見捨てられた子供のように泣いている。それでも私は扉を開けなかった。母が死んだとき、私だって、同じくらい心細かったから。清人に30回近く電話をかけた。10通以上メッセージを送った。それなのに返事は一度もなかった。あとになって知った。その頃清人は遥の写真を撮っていた。スマホの通知は全て切っていたらしい。だから今はもう、私も清人の声を聞きたくなかった。翌日、清人は自分のSNSの投稿をすべて消した。残したのは一つの謝罪だけだった。【先生、ごめんなさい。先生の期待を裏切りました】コメント欄には、何があったのか、といった書き込みが相次いだ。やがて誰かが、あの日に遥が投稿した写真のスクリーンショットを載せた。話はあっという間に広まった。二人の共通の友人たちも騒然となった。遥を最低だと責める人、清人を恩知らずだと罵る人、私に個人的に連絡してきて、何かできることある?と聞いてくる人までいた。私は誰にも返事をしなかった。今さら向けられる正義なんて。私にはもう何の意味もなかった。遥の会社にもこの一件は伝わったらしい。遥は一時的に仕事を外され、社内で事情を確認されることになった。その日、遥は職場で泣きすぎて倒れたという。意識を取り戻してすぐに一言つぶやいた。「先生に会いに行かなきゃ」だがもう誰も彼女に同情しなかった。遥は昔から人当たりだけ

  • 叶わなかった願い、待ち人は来なかった   第9章

    スマホの画面は何度も光った。すべて清人からのメッセージだった。【寧々、ごめん】【許してくれなんて言わない】【せめて先生のために何かさせてくれ】【治療費も、お墓の費用も、その後のことも、全部俺がやる】【お願いだから一人で抱え込まないでくれ】私は一通も返さなかった。やがて電話までかかってくるようになったので、そのまま清人をブロックした。翌朝,インターホンが鳴った。扉を開けると、玄関先に朝食と一枚のメモが置かれていた。清人の字だった。【胃が弱いんだから、ちゃんと何か食べろ】その文字を見つめていると、なぜか笑いたくなった。私の胃が弱いことくらい、清人は当然知っている。大学時代、清人の起業を手伝うため、私は一日一食で過ごすことも珍しくなかった。ある日、胃が痛すぎてその場にしゃがみ込み、立てなくなったことがある。あのとき清人は私を抱えて病院へ連れていき、目を真っ赤にしながら言った。「これからは俺が一生、寧々のことを大事にする」だが仕事が忙しくなるにつれ、起業は大変なんだ、お前も少しは理解してくれ、とそう言うようになった。私が胃が痛いとメッセージを送っても、返ってくるのはたった一言だけ。【自分で何かデリバリー頼めば?】なのに遥が、街の反対側にある店の麺が食べたい、と一言言えば、車で三十分かけて買いに行く。清人は人の面倒を見ることができないのではなく、誰にしてあげたいかが違ったのだ。私は朝食もメモもまとめてゴミ箱へ捨てた。その日の昼、今度は遥がやって来た。髪は乱れ目は赤く腫れている。両手には小さな箱を抱えていた。「寧々、これ、昔先生からもらったペンなの。ずっと大事にしてた。寧々に返したくて」私は受け取らなかった。「お母さんが遥にあげたものなら遥のものだから。私はいらない」遥の目からまた涙があふれた。「そんなこと言わないで、私、本当にもう耐えられない。この数日、目を閉じるたびに、病室で私たちを待ってる先生が見えるの。遥ちゃんって呼ぶ声まで聞こえる。本当に後悔してるの」私は静かに彼女を見つめた。「じゃあそのまま苦しめばいい」遥が固まった。私は続ける。「後悔するのはあなたの勝手でしょ。それを私に押しつけないで」遥の唇から血の気が引いた。「寧々、私たち、何

  • 叶わなかった願い、待ち人は来なかった   第8章

    清人の顔は真っ青になった。手にしていた白菊の花束が床へ落ち、花びらがあたりに散らばった。突然、遥がその場に跪いた。「寧々、お願い。中に入れて。先生にちゃんと頭を下げて謝りたい。本当に、自分が悪かったってわかってるから」私は彼女を見下ろした。「私に跪かないで。汚らわしいから」遥の体が大きく震えた。涙が床へ落ちていく。「わざとじゃなかったの。あの日、本当に私はただ……」「ただ、何?ただ清人に一緒にいてほしかっただけ?ただブライズメイドのドレスを着て、写真を撮りたかっただけ?ただ私が惨めになるところを見たかっただけ?」遥は口を開いたが、何も言えない。その目が一瞬だけ、明らかに泳いだ。その瞬間、私は突然理解した。もしかしたら遥は、本当に何もわかっていなかったわけではない。ただ慣れていたのだ。自分が泣けば、清人が必ず味方してくれることに。「わざとじゃなかった」と一言言えば、私が波風を立てないために我慢することに。あの日がどれほど大切だったのか、知らなかったわけではない。ただ最後には、私が許してくれると思っていただけ。今までと同じように。私は口元をわずかに歪めた。「遥。あなたは頭が悪いんじゃなくて、性格が悪いだけ」遥の顔が一瞬で真っ白になった。周囲からひそひそと話す声が聞こえてくる。「あの子が例の付き添いの子?」「結婚式の日に来なかったっていう?」「夏目先生、あんなに重い病気だったのに……」「ひどい話ね……」遥は俯いた。肩が激しく震えている。清人が遥を支えようと手を伸ばしたが、途中でその手が止まった。初めて清人は遥を真っ先にかばわなかった。ただ私を見つめる。その目には縋るような色しかなかった。「寧々、中に入れてくれ。一度だけでいい」私は首を横に振った。「すみません、この二人を外へお願いします」葬儀場のスタッフがこちらへやって来た。清人は抵抗しなかった。外へ連れていかれながら、何度も何度も振り返って祭壇を見ていた。まるでようやく気づいたかのようだった。一度入り損ねた扉には、もう一生、入れないことがあるのだと。葬儀を終えたあと、私は母の遺骨を抱えて墓地へ向かった。小雨が降っていた。細い雨粒が黒い傘を叩く音は、とても静かだった。骨壺を墓へ納め

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