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プロローグ

last update Terakhir Diperbarui: 2025-09-01 17:10:06

 スノーケルピーという名前には、雪の妖精という意味があるらしい。勝手につけられたいつわりの名前の中に、偶然にも真実が混在しているのは皮肉なものだった。

「さっさと馬房ばぼうに戻らないか! 肉にされたくなきゃ言うことを聞け!」

 しなるむちはくり返し体を叩く。激しい痛み。乾いた音。響く罵声ばせい。狭く汚れた馬房ばぼう。ここはまるで牢獄――いや、地獄なのかもしれない。窓から日が差したとしても、温かさやまぶしさは微塵みじんにも感じられず、使い古した冷たいわらもひどく心地が悪かった。

 毎日、毎晩。確かめるように周囲を見渡す。ここにはほかに動物はいないようだ。ネズミ一匹、見当たらないのも妙だが、この世界の動物たちはみんな、知っているのかもしれない。ここは地獄だということ。そして地獄には、悪魔のような人間がいること。

「まったく、いい馬だと思ったが姿ばかりだったな。明日、お前をよそへ預ける。そこは私よりも厳しい厩務きゅうむいんたちが大勢いるから、お前も少しはまともになるだろうよ」

「旦那さま、まだよくなられたばかりなのですから、あまり無理をされませんよう……。大きなお声は体にもさわります……」

「あぁ、わかっている。私のつえは」

「ここにお持ちしました」

「すまないね。しかし、こいつのおかげでえらい目にったもんだ。いいか、スノーケルピー。アジアで肉にされたくなきゃ、更生しろ」

 そうか。ぼく、よそへやられるんだ……。

 二つの足音が遠ざかっていくのを確め、傷だらけの体をそっとわらの上に倒す。そうしながら、男の言葉をぼんやりと思い返した。不思議だ。そこがどんな場所かもわからないのに、ぼくは安堵あんどしている。

 もっとも、この地獄から出られるのなら、どこへ連れていかれたって構わなかった。その先が再び地獄であっても、今、この場所から逃れられるのなら、それは一筋の希望の光ですらあった。ただ、苦しかった。ここは、ぼくに孤独と恐怖を強く感じさせる。

 あぁ、誰か、誰か。ここには光がない。お願いだ。助けて――。

 一刻も早くここを出て自由になりたい。しかし、どれだけそう願っていなないてみても、小鳥すら、トカゲすら、ここへはやって来てくれない。あの男が去ったあとの馬房ばぼうはただ、しん、と静まり返っているだけだ。

 誰か……! ぼくの声を聞いてくれよ……!

 心の中でそう何度も叫び、だんだんと暗くなっていく窓の外を見上げるが、やはり、助けはこない。ぼくは本当にひとりぼっちだった。静けさの中で目頭が熱くなり、涙がにじむ。もうこの体にはほとんど力が残っていないのに、明日になれば、今度は新しい場所で、さらに厳しい仕打ちがぼくを待っているのだ。いったい、なんの罪があって、こんな思いをしなければならないのだろう。

 こんなことなら、人間の世界になんか、遊びにくるんじゃなかった……。

 しかし、そう思った瞬間。不意に強い風の吹く音がした。直後、甘い花の香りが風に乗って鼻をくすぐっていく。どこからか舞い降りてきたのは――花びらだ。ピンク色の小さな花びら。ここへ来てから、もういくつもの季節を過ごしてきたが、こんなことは珍しかった。まるで、風になぐさめられているような気分だ。

 風が……、言ってくれてるんだろうか。大丈夫だって、ぼくにそう言って……。

 そんなふうに思ったのは、ほのかな花びらの香りのせいかもしれなかった。不思議なことに徐々に意識が遠のいて、浅い呼吸が落ち着いていく。いつもなら、むちで打たれた痛みが眠気をさまたげてしまうのに、今夜はその痛みもさほど感じない。

 あぁ、今夜は眠れそうだ……。

 ぼくは目を閉じ、願いが叶う日を夢に見る。いつか、誰の指図も受けずに、自らの意志で生きること。好きなだけ、好きな場所を自由に駆ける日が来ることを信じて――。

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  • 君と風のリズム   13 三日月の夜まで

     大会の閉会式が終わるまで、僕はハーヴィーと馬房に戻り、ふたりきりで時が過ぎるのを待った。時折、歓声が聞こえても、もう順位などどうでもよくて、気にもならない。このまま優勝であれば閉会式に出なければならないが、とてもそんな気分になれなかった。ため息ばかりが漏れて、全く気力が起きない。 もう、なにもかもどうでもいい。なにか用があれば呼ばれるだろうし、わざわざ騒がしいところにいる必要はない。今はただ不安で、悲しくて、僕はハーヴィーのそばで静かに、彼の温もりを感じていたくて、身を寄せ合って藁の上に座っていた。 そうして、どれくらい経っただろう。不意に、僕とハーヴィーのいる馬房へ軽やかな足音が近づいてきた。「オリバー?」 「あぁ……」 「やっと見つけた。ここにいたのね」 やって来たのはマーサだった。マーサはハーヴィーの馬房の前に立ち、心配そうに僕と彼を見つめて言う。「トーマスおじさまに聞いたわ。スノーケルピーのこと」 「そう……」 「入ってもいい?」 僕はちら、とハーヴィーに目をやる。ハーヴィーはふうっと鼻息を漏らし、そっぽを向いた。だが、耳をぴく、と立てているのを見る限り、彼の答えは恐らく、「どうぞ」だ。「どうぞ、いいよ」 「ありがとう」 僕はハーヴィーの返事を代弁するようにそう答える。マーサは僕の隣に座り、膝を抱えた。「リーさんって、ひどいわね……」 「うん」 「私、やっぱりあの人は嫌い。あなたたちのことをよほど認めたくないのよ。自分が持ち馬に好かれないのも、きっと面白くないんだわ」 マーサはそう言ったあと、ため息を吐く。彼女はただ黙ってそこにいながら、どこか僕が何か言うのを待っているようだ。だが、僕には今、文句を言うだけの気力すらもない。「馬に嫌われて当然のことをしてるのに、それをみんな馬やあなたたちのせいにして。どんなに気性の穏やかな子だって、あれじゃ――」 「……もう、いいよ。そういう人なんだから、どうしようもないさ」 「オリバー、あなた怒ってないの?」 「……わからない。ただ、すごく悲しいんだ。僕たちはせっかく息の合ったパートナーなのに。来週には離れ離れになる……。それに……」 声が震えて、仕舞いには言葉が出なくなった。自分で口にしてもま

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