紅の番契 〜Ω皇子は封印竜に寵愛される〜

紅の番契 〜Ω皇子は封印竜に寵愛される〜

last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-08
Oleh:  めがねあざらしBaru saja diperbarui
Bahasa: Japanese
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紅い瞳を持つΩ王子・焔琉苑は、「神の番契」を結ぶために火の神殿へと捧げられた。 だが封印の奥にいたのは、何百年も眠っていた伝説の黒竜――シュア=ラグナ。 夢で囁かれていたあの声が、現実となり彼を支配する。 抗えない番契の運命。 「おまえはもう、俺のものだ」 神に選ばれたΩと、神に見放されたα。 ふたりの魂が交わるとき、この世界の“番”の意味が変わる――

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Bab 1

【プロローグ】その声は、夢の中で

――燃えるように熱い世界の中。

地面は溶けたように揺らぎ、

空は赤く染まり、風は焦げていた。

その世界には色も形もなく、ただ焼き尽くす気配だけが存在していた。

目を開けても、何も見えない。

見えているはずなのに、視界は光に呑まれ、境界がない。

なのに、そこには確かに“誰か”がいた。

「……ああ……やっと見つけた……」

低く、深く、獣のような声が、熱の中から響いてくる。

それは言葉というよりも、魂に直接刻み込まれるような響きだった。

懐かしい。

会ったことがあるはずがないのに、知っている気がした。

けれど同時に、喉の奥が震えるほどの恐怖も、胸の奥に芽生える。

それは、恋に似た痛みだった。

「名を聞かせろ。おまえの、名を」

誰だ、おまえは――。

どうして俺の名を問う?

そもそも、ここはどこなんだ?

意識はある。だが身体は動かない。

ただ、燃えさかる世界の中で、名前を奪われることを恐れている自分がいる。

「……おまえが俺の番か……」

その一言で、すべてが焼き崩れる。

肺の奥が、灼けるように熱くなる。

心臓が跳ねる音が、骨の内側で鳴り響く。

まるで、自分という器が中から満たされていくような感覚。

重なる呼吸、共鳴する鼓動。

知らない誰かの体温が、確かにこの身体の中に流れ込んでくる。

夢だ。

これは夢に違いない。

だが、現実よりも強く、この感覚は刻み込まれていく。

この声を、拒絶してはいけない。

そんな直感が脳裏を貫いた。

だが、従ったら戻れない気がした。

このまま身を任せれば、きっと、二度と元には戻れない。

「もう離さない。……おまえは、俺のものだ」

声が落ちると同時に、世界が音もなく崩れ始めた。

紅蓮の空が割れ、足元の地面が消えていく。

重力も音もない空間に、ただ熱だけが残り――

焔 琉苑《えん・りゅうえん》は、跳ねるように目を覚ました。

寝台の上、薄絹の寝衣は汗で貼りつき、胸は荒く上下している。

冷や汗が頬を伝い、背中がじっとりと濡れていた。

ただ一つ、確かなことがある。

今の夢は、ただの夢ではなかった。

それは“記憶”だったのか、“予兆”だったのか――。

わからない。

けれど、あの声だけは確かだった。

そして、琉苑は知ることになる。

あの声が、これから自分の世界を焼き尽くしていくということを。

――それが、すべての始まりだった。

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【プロローグ】その声は、夢の中で
――燃えるように熱い世界の中。地面は溶けたように揺らぎ、空は赤く染まり、風は焦げていた。その世界には色も形もなく、ただ焼き尽くす気配だけが存在していた。目を開けても、何も見えない。見えているはずなのに、視界は光に呑まれ、境界がない。なのに、そこには確かに“誰か”がいた。 「……ああ……やっと見つけた……」 低く、深く、獣のような声が、熱の中から響いてくる。それは言葉というよりも、魂に直接刻み込まれるような響きだった。懐かしい。会ったことがあるはずがないのに、知っている気がした。けれど同時に、喉の奥が震えるほどの恐怖も、胸の奥に芽生える。それは、恋に似た痛みだった。 「名を聞かせろ。おまえの、名を」 誰だ、おまえは――。どうして俺の名を問う?そもそも、ここはどこなんだ?意識はある。だが身体は動かない。ただ、燃えさかる世界の中で、名前を奪われることを恐れている自分がいる。 「……おまえが俺の番か……」 その一言で、すべてが焼き崩れる。肺の奥が、灼けるように熱くなる。心臓が跳ねる音が、骨の内側で鳴り響く。まるで、自分という器が中から満たされていくような感覚。重なる呼吸、共鳴する鼓動。知らない誰かの体温が、確かにこの身体の中に流れ込んでくる。夢だ。これは夢に違いない。だが、現実よりも強く、この感覚は刻み込まれていく。 この声を、拒絶してはいけない。そんな直感が脳裏を貫いた。だが、従ったら戻れない気がした。このまま身を任せれば、きっと、二度と元には戻れない。 「もう離さない。……おまえは、俺のものだ」 声が落ちると同時に、世界が音もなく崩れ始めた。紅蓮の空が割れ、足元の地面が消えていく。重力も音もない空間に、ただ熱だけが残り―― 焔 琉苑《えん・りゅうえん》は、跳ねるように目を覚ました。 寝台の上、薄絹の寝衣は汗で貼りつき、胸は荒く上下している。冷や汗が頬を伝い、背中がじっとりと濡れていた。ただ一つ、確かなことがある。今の夢は、ただの夢ではなかった。それは“記憶”だったのか、“予兆”だったのか――。わからない。けれど、あの声だけは確かだった。 そして、琉苑は知ることになる。あの声が、これから自分の世界を焼き尽くしていくということを。 ――それが、すべての
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-06
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【第1話】神に捧げられる日
 璃晏国の空は、どこまでも晴れていた。 けれど、その青さはどこか冷たく、今日の行き先を思うたび、胸の奥がざらついた。 馬車の中、揺れる車輪の音に重なるように、抑制剤の瓶が小さく鳴った。 細い指で握られた瓶の中の薬液は、琥珀色に濁っている。 それは、この日のために調合された特製の抑制剤だった。 どんな刺激にも反応しないよう、五重の薬層で発情を封じる。 「……そんなに効果が必要か、俺に」 琉苑は誰にともなくつぶやいた。 銀の髪が肩に落ちる。紅の瞳が、窓の外を見つめていた。 王族に生まれたΩは、生まれた瞬間から決まっている。 ――いつか神殿に捧げられ、神の番を選ぶ器として扱われる運命だと。 「殿下、本日はよろしくお願いいたします」 馬車が止まり、扉の外で神官が頭を垂れる。 白と金で統一された神殿服、その袖の下から見えるのは無数の薬袋と符文。 薬と祈りによって、神とΩを繋ぐ。それが、この国の伝統だった。 琉苑は立ち上がる。 脚が少し震えていた。 だが、皇子である以上、誰にもそれを見せるわけにはいかない。 神殿の石段を登るたび、空気が変わっていく。 まるで、熱が地の底から立ちのぼってくるような、不自然な重さ。 (おかしいな……抑制剤、ちゃんと効いてるはずなのに) 鼓動が早まる。 首の後ろがじんわりと熱を帯びる。 発情期ではない。けれど、これは―― 「……呼ばれてる?」 琉苑は思わず立ち止まった。 後ろから神官が促す声がするが、耳には届かない。 そのときだった。 神殿の最奥――封印の間の扉が、ひとりでに音を立てて開いた。 風が吹いた。 風などないはずの、密閉された神域に。 焼けるような空気。 鼻を突く、熱と血の匂い。 そして―― 聞こえた。あの声が。 >「……ようやく、来たな」 琉苑は、背筋が凍るのを感じた。 夢の中で何度も聞いたその声。 誰よりも懐かしく、けれど、恐ろしい。 足が、勝手に前に出た。 封印の間に、一歩ずつ、吸い寄せられるように。 大理石の祭壇の上、金属の枷に覆われた巨大な扉が見える。 その中心に、ひとつだけ浮かぶ紅の紋。 ――焔の紋。王族の証。 琉苑が手を伸ばすと、紅の紋が淡く光った。 その瞬間、世界が裏返った。 扉が震え、床が揺れる。 頭の奥に焼きつくような痛みとと
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-06
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【第2話】封印の間、紅き目覚め
 音が、消えた。 封印の間の扉が開いた瞬間、まるで別の世界が顔を覗かせたかのように、空気が変わる。 風が吹き込む。鼻の奥を突く焦げた匂い。鉄と火薬を混ぜたような、獣の匂い。 琉苑は本能的に後ずさろうとしたが、脚が動かない。 何かがこの場に“引き寄せられている”。そんな感覚だった。  ――熱い。 額に浮いた汗が一滴、こめかみを伝って落ちる。 抑制剤は確かに打った。高濃度の特製だ。 それなのに、心臓が早鐘のように脈打つ。 呼吸が荒くなり、手が震える。 (これは、発情……? いや、まだそんなはずは――)  扉の奥。 重く、静かに、何かが歩いてくる音。 ゆっくりと姿を現したのは、人だった。 いや、“人のかたちをした何か”。 深い闇を思わせる漆黒の髪。 瞳は金――燃えるような金色。 裸の上半身には、かすかに鱗のような痕跡が浮かんでいる。 その目が、まっすぐに琉苑を見ていた。  「リウ……」  また、あの声だ。夢の中で何度も聞いた、あの低い声。  「……やっと会えたな」  男が一歩踏み出すたびに、足元の大理石が軋む。 圧力がすごい。魔力というより、“存在感”そのものが重い。 琉苑は喉を詰まらせたまま、後ずさった。 が、それよりも早く、相手が近づいてくる。  「待っ……近寄るな」  必死に声を出す。 だが相手は止まらない。 目の前まで迫ると、琉苑の耳元に顔を近づけ―― 首筋のあたりに、そっと息を吹きかけた。  「この匂い……間違いない。番の匂いだ」  瞬間、琉苑の背筋がゾクりと震えた。 全身の神経が逆立つ。 そこに、触れられていないはずなのに――熱が走る。 肌の内側から火が這い上がってくる。 脚の力が抜け、膝がふらついた。  「抑制剤、使ってるのか……。だが、効かない」  男――シュア=ラグナが、低く笑う。 その声は優しげでいて、どこか危うい熱を孕んでいた。  「体は嘘をつけない。おまえは……俺を欲しがってる」 「っ、違っ……そんな、わけ……」  琉苑は言葉を詰まらせた。 認めたくなかった。 だが、身体の反応はどうしようもなかった。  シュアの手が、琉苑の頬に伸びる。 熱い掌が触れた瞬間、電流のような痺れが走った。  「本当に、よく似ている……あの時と」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-07
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【第3話】番契の痕、覚めぬ熱
世界がゆっくりと輪郭を取り戻す。夢の底から浮上するような、重く、ぬるい感覚。重く沈んだまぶたが、ようやく上がった。視界に広がるのは、見慣れた天蓋付きの寝台。絹織物の天井が、ゆるやかに揺れているように見えた。甘く焚かれた香のかすかな香りが鼻を掠め、ようやく“ここが現実”だと理解する。――神殿。それも、王族のために用意された最奥の特別室。琉苑はゆっくりと身じろぎした。けれど、動いた瞬間、身体中の節々が悲鳴を上げた。だるい。熱い。関節の奥が重く、肺の奥にまだ燃えさしのような熱がこもっている。息を吸うたびに、咳が出そうになる。あれは……夢だったのか。それとも――「ご無事で何よりです、殿下」襖の向こうから、静かな声がした。重い音を立てずに障子が開き、一人の神官が入ってくる。入室の許可も待たずに姿を現したその所作に、焦りや動揺の気配はない。白の長衣に金糸の縁取り。額をきつく結い上げた白髪。表情は穏やかで、整った所作と声の調子は訓練された者のそれだった。琉苑の主担当――シェン。琉苑が幼少の頃から神事に関わってきた、信頼も年季もある年長者だ。「軽い気絶のようでしたが、神殿の加護もあって大事には至らず」「……封印の間で、俺は……」言いかけた言葉が、喉で詰まった。何を、どう聞けばいいのか。この現実の空気に、夢の中の出来事はあまりに馴染まない。否定してほしいのか、肯定してほしいのか。自分でもわからなかった。シュア=ラグナ。紅黒の竜。燃えるような瞳と、低い声。首筋に触れられた熱と、あの言葉――『おまえは、俺の番だ』あれが夢であってほしいと願いながらも、心のどこかでまだ、その余韻に体が引きずられている。「……封印の間では、とくに変化はありませんでしたよ」シェンのその一言が、胸の中心に冷たく突き刺さった。平静な声、動じていない瞳。つまり、“何も起きなかった”という事実を伝えている。「あなたが倒れられた直後、神殿の霊圧に若干の乱れがありましたが……想定の範囲内です。番契の儀は、代々続く“通過儀礼”ですから」通過儀礼――祭事。形式。伝統。すでに何百年と繰り返されてきた、意味を持たない神事。その中に“本物”などない。ただの象徴。だからこそ、誰にでも起こり、誰にとっても通り過ぎていくもの。だが――琉苑の中
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