LOGIN黒曜宮を出発した馬車は、のどかな田園風景を抜け、領内でも特に賑やかな交易街へと足を踏み入れていた。
黒曜宮からはなれると、瘴気は薄くなり、町にはたくさんの人がいる。
セラは、馬車の窓からあたりをのぞいては、見るものすべてを驚きの気持ちで見つめていた。黒曜宮のまわりは、草地と森が広がる静かな場所だったが、ここはまるで違う。
なんて色んな音があるのかしら。それに、色んな人。色んな物。目が回りそうに魅力的だわ。
馬車がとまり、ジェイドに手をにぎられて降りた先には、すでに別の馬車で移動していたバーニーが待ち構えていた。
「お嬢様、ご覧くださいませ! あちらがわたくしのおすすめする、この街一番の呼び声を誇る老舗のお菓子屋でございます!」
バーニーがそう言って示した先には、古いが立派な作りの建物がある。
セラは、深く
ジェイドは目の前で開かれたセラの可憐な秘裂に視線を注いでいた。 濡れた蜜に彩られた最愛の身体。ジェイドは迷うことなく顔を寄せ、その開かれた女の割れ目に夢中で舌を滑らせた。「あっ……あ、じぇいど……っ」 甘い悲鳴が降ってくる。 ジェイドは舌先で湿った粘膜を丁寧になぞり、小さな花蕾を唇の中に優しく含んだ。吸い上げ、舐め上げながら、指先でセラのやわらかな身体をなぞるように堪能する。 セラは恥じらいながら、全身を震わせて素直な反応を返してくる。 舌をセラの内側にねじこむようにすると、セラが身をよじる。指先で愛らしくぷっくりと主張し始めた花芽を押してやると、さらに身をよじって、子猫のように鳴く。 指と口で交互に与える刺激に、彼女は何度も小さく身体を跳ねさせ、絶頂の波に呑み込まれていく。 ああ……かわいい。 もっと欲しがって、おかしくなってほしい。 熱い蜜を舌で掬い取りながら、ジェイドの胸の奥で黒く甘い欲望がうねりを上げた。 理性のタガが外れそうになるのを必死で繋ぎ止めながら、ジェイドはゆっくりと顔を上げた。いきり立った己の硬さをセラのやわらかに濡れた入口に軽くあてがう。そのまま突き入れてしまいたい衝動を、なんとか抑え込む。 セラの美しいまるみを持つ豊かな胸元に手をやった。 白く柔らかな肉は、はかなげにたよりなくジェイドの手におさまる。大きな掌で包み込み、揉みほぐし、先端の小さな実を指先でじれったくつまむ。 セラが腰をゆらして、不満なようだ。 ジェイドの熱く硬くなった根の先に、ぬるりとあたたかな誘惑の感触がある。
静かな寝室の暗がりの中で、部屋の空気は甘く、重く揺れていた。 セラは、その揺らめきにあわせて、息をはく。 ジェイドの温かな唇が、セラの首筋から胸元、そして柔らかな腹へ。さらには、もっと下にまで、濡れた足跡を残すようにゆっくりと滑り降りていく。彼の指先と唇が与えてくる刺激は、セラの身体を翻弄し、全身の力を奪っていくようだった。「あ……んっ……、じぇいど……っ」 何度も、何度も。 彼の巧みな口づけと、しなやかに動く指先によって敏感な場所を優しく撫で上げられ、セラはそのたびに小さく悲鳴を上げて快楽の波に呑み込まれた。一度、二度と高まりの頂点へ連れて行かれ、身体を痙攣させるほどの心地を繰り返しているのに、熱の芯は冷めるどころか、増々激しく燃え上がっていく。 愛撫に溶かされ、頭の中が真っ白に染まっていった。 けれど、どれほど唇や手で身体を慈しまれても、身体の奥に芽生えた切ない渇きだけは満たされなかった。一番触れてほしい場所、一番深くで繋がっていたい部分が、ぽっかりと空いたまま焦らされている。 ジェイドは、指先でセラの割れ目の外側にある敏感な部分を責め立てても、けっして割れ目の奥に指先を進めなかった。舐められ、舌をねじこまれると、いけない快感が背をかけのぼるが、それは物足りなさを増長させる。 今は、ジェイドのいきり立った熱い体温が、セラの太ももの内側に触れている。今にも自分を貫いてくれそうな位置にあるのに、彼はセラの反応を確かめるように滑らかな指先で焦らし続ける。 もどかしさと、焦燥感。 欲しいのに……。 セラは耐えきれなくなり、泣きそうになりながら目の前の男を見上げた
自分の腹の上に重ねられた、大きくあたたかい手に、セラはそっと自分の細い指先を重ねた。 ジェイドが注ぎ込んだもの——。 言葉にしようとすると途端に頬が熱くなってしまうような行為の結果が、今もセラの内側にとどまり、彼の魔力を宿しているということだろうか。 だからこそ、離れた場所にいても自分の危機を察知して駆けつけてくれた。 セラはあたたかな気持ちになった。 多忙な日々のあいだにも、ジェイドは数日とおかずセラの部屋を訪れていた。どれほど公務が立て込んでいても、セラのもとへ足を運び、深く抱きしめてくれる。 ベッドの上で行われる男女の触れ合いは、セラの心を満たしてくれる、確かなあたたかさに満ちていた。心地よさと、安らぎがあり、切ない気持ちまで感じる。お互いを求めあう、素敵な行為だ。 その結果、セラの身にそそがれるものが、セラの身も守ってくれた。 感謝の気持ちしかない。 なぜか、ちょっと不安そうにセラの顔を覗き込んでいたジェイドが、ぽつりと問いかける。「嫌じゃない……?」「え……?」「その……かなり特殊な能力だから……、注ぎ込まれた魔力で繋がっているなんて、気持ち悪がられないかと、少し心配だったんだ」 滅多にない気弱なジェイドの表情。 セラは目を丸くした後、優しく微笑んでかぶりを振った。「とても頼りになります。気持ち悪いだなんて思いません。わたしとジェイドを繋いでくれる、素敵な力です」 セラの言葉に、ジェイドの表情がふっと和らぎ
静寂に包まれた寝室の中で、ベッドのシーツが小さく擦れる気配がした。 窓辺に佇んでいたジェイドは、すぐさま振り返ってベッドへと歩み寄った。横たわっていたセラが、長い睫毛をかすかに震わせ、ぼんやりとした様子で薄く目を開く。 焦点の定まらない彼女の瞳が、あたりをめぐった後にジェイドの姿を捉えた。「……じぇいど……? ここは……」「わたしの寝室だよ」 ジェイドはベッドの縁に腰を下ろし、彼女の頭にそっと手を添えた。 セラはまだ夢心地なのか、ぼんやりとした様子で首を傾げる。「わたし……」「わたしがきみを抱き上げたあと、きみはすぐに気を失ってしまったんだよ。……無理もない」 あれほどの激痛を何度も体に叩き込まれれば、気を保っていられるはずがない。ジェイドの手のひらに伝わるセラの体温と、セラの穏やかな瞳に、ようやくジェイドの胸の奥にあった冷たい塊が解けていく心地がした。「きみを傷つけた者たちは、駆けつけた警邏によって連行された。おそらく拘束されているはずだ」「拘束……」 その言葉を聞いた瞬間、セラの瞳に怯えの色が走った。かつて自分が閉じ込められていた暗闇や、罰という名の暴力を連想したのかもしれない。 小さく体を縮こませるセラを見て、ジェイドは彼女の髪を撫でながら静かに言葉を続けた。「……だが、おそらく、そう長くは拘束できない。王妃も、ローゼンタール家もすぐに動くだろうからね。もう今は、拘束も解かれているかもしれない」
生垣が落とす深い影を通り抜け、庭園の奥へとジェイドが足を進めるにつれ、魔力の気配は増していった。そして、静寂を破るように響いてきたのは、複数の若い女たちのあざけるような甲高い笑い声だった。「まあ大げさね。そうら、立ち上がってみなさいよ」「無様な様子ったら!」「オディール様、つぎはわたくしが! よろしいでしょう?」 まるで無邪気な声に聞こえるのに、ここまでおぞましく感じられるとは。 植木の影から、そこで行われている光景が視界に入った瞬間、ジェイドの胸の奥で煮えたぎっていた怒りが、恐ろしいほどの冷気となって全身を駆け抜けた。 そこにあったのは、地面に伏し、激しい痛みに耐えるように身を小さく丸めているセラの姿だった。 彼女の周りを何人かの令嬢たちが取り囲み、まるで遊びにでも興じるように順番で魔力を練り上げている。彼女たちの手元から伸びる光の帯が、まるで鞭のようにしなり、動けないセラへと容赦なく振り下ろされていた。「次はわたくしの番ね」 楽しそうに言い放ち、薔薇色の魔力の鞭を高く振り上げた女——オディールだった。その腕が振り下ろされるより早く、ジェイドは踏み込み、彼女の手首を掴み上げた。「……っ⁉」 オディールが驚いて振り返る。 目が合う。「……ひっ……」 おそろしいものを見たように、オディールが喉から、声にならない音をだす。ジェイドは、冷めた気持ちでその醜悪さを内にはらんだ顔をじっと見つめた。「で、殿下……」
古びた工場の跡地で指示を出し終え、引き上げようとしたその時だった。 ズキリ、と右腕と腹部に切り裂くような鋭い痛みがあった。「……っ」 思わず足が止まり、ジェイドは右腕を押さえた。急いで手袋を外し、外套の袖を捲り上げて腕を確かめる。だが、そこには傷ひとつなく、肌は滑らかなままだった。 傷はない……。 傷跡も。 ならば、これは……。 戸惑う間もなく、さらに腹部に重く刺すような痛みが走り、続けて肩や背中へと、連続して衝撃のような激痛が走った。肺の中の空気が無理やり押し出されるような、息の詰まる不快な苦痛。 ジェイドはすぐに、その痛みの正体に気づいて、ざあっと全身から血の気が引いた。これは、自分自身の身体が傷つけられている痛みではない。 幻痛だ。 体感するのははじめてだが、そう確信できた。 これは自分が受けている直接の攻撃ではない、とジェイドが認識すると、身体にある生理的な激痛はすっと遠のいていく。痛みだと感じていたものは、痺れに似た不快感に代わる。 しかし、痛みが引いたからといって安堵は訪れない。 むしろ、それ以上の戦慄が全身の血液を凍りつかせるようだった。 自分の肉体には傷がない。 だが、断続的に打たれ、苦しんでいるという「事実」だけが、魔力の繋がりを通じてはっきりと伝わってくる。 セラ……! この感覚の答えは、ひとつしかなかった。 セラが、いま、何者かによって魔力を用いた攻撃を受けている。それも、おそろしい激痛をともなう執拗な——拷問のような