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第5話

Author: 銜枝
村瀬家の本家に足を踏み入れて、詩織はやっと思い出した。今日は村瀬家の大奥様の誕生日なのだ。

村瀬家の大奥様は彼女を嫌っており、誕生祝いの宴に彼女の参加を許したことは一度もなかった。

結婚して五年、彼女が村瀬家の宴会場に足を踏み入れるのはこれが初めてだった。

詩織は心の中で苦々しく思い、手を引っ込めようとした。

しかし、雅也は強引に彼女を引っ張って前へ進んだ。「結月のおかげで、おばあ様がやっとお前に会ってくれる気になったんだ。後で、ちゃんと良いところを見せないとな」

そう言い終えると、彼女を大奥様の前に連れて行った。

詩織は覚悟を決めてお祝いを述べた。「おばあ様、お健やかで長生きされますように……」

その言葉を聞くと、村瀬家の大奥様は軽蔑するように笑った。

「結構よ。祝いの品は?」

詩織は全身が震え、まるで氷の穴に突き落とされたかのように感じた。彼女は祝いの品を用意していなかった……

雅也でさえ忘れていたのだ。

人々からの軽蔑の眼差しが彼女に注がれる中、彼女は突然結月の得意げな視線とぶつかり、やっと理解した。

結月はわざとやったのだ。

彼女は雅也が彼女に無関心であることを知っていたからこそ、わざと懇願して、彼女を大勢の人の前で恥をかかせたのだ。

詩織は目を閉じ、涙が静かに流れるのをただ見守った。

その後の三十分間。

詩織はまるで死体のように、村瀬家の大奥様が結月にますます親しげに接するのを、無感情に見つめていた。

村瀬家の大奥様は結月の手を握り、自ら彼女にエメラルドの指輪をはめ、人々に宣言した。

「これは私たち村瀬家の家宝です。今日、この指輪を結月に渡します。私の心の中では、彼女こそが村瀬家の妻なのです。

詩織、何か意見はあるか?」

人々は騒然となり、一斉に詩織を見た。

彼女は黙って、遠くにいる雅也を見つめた。彼の表情は優しく、その瞳には隠しきれない愛情が自然と滲み出ていた。

女は悲しげに笑った。

「何もありません」

村瀬家の大奥様はやっと満足したようで、彼女を手招きした。「まあ、お前も雅也に嫁いだ身だ。村瀬家の人間と言えなくもない。だから、無下には扱わないよ。

私について来なさい」

彼女は適当な言い訳をして、雅也を結月と一緒に連れて行かせ、自分は詩織を二階へ連れて行った。

部屋に入るとすぐに、村瀬家の大奥様は言った。

「さあ、家のしきたりに従って罰しなさい!!」

三、四人のボディーガードが前に出て詩織を押さえつけ、彼女を地面に押し倒した。頭上から大奥様の冷たい声が響いた。

「私が今日、あなたに会おうと思った理由、分かる?

もちろん、あなたの出来損ないの腹のせいだよ!」

村瀬家の大奥様は残念そうに言った。「私が気に入っている孫嫁は、ずっと結月だったの。あなたが邪魔をしなければ、あの二人はとっくに一緒になっていたはずだ。

あなたは村瀬家の妻の座を占拠して、五年も経つのに子供一人も産めない。罰せられるべきだと思わない?」

詩織は必死に首を横に振った。自分の体質では子供を産むことができないと言おうとしたが、言葉を発する前に。

「バシッ!」

鞭が空を切る音とともに、容赦なく振り下ろされた。

一発目の鞭で、詩織は大きく目を見開き、引き裂かれるような悲鳴を上げた。

二発目の鞭が背中に当たると、傷口に塩を塗られたかのように、鋭い痛みが内臓をえぐるようで、呼吸がほとんど止まりそうになった。

三発目の鞭で、彼女は雅也の名前を叫んだ。彼が自分を助けに来てくれることを期待して……

しかし、雅也は来なかった。

彼女は唇を噛みしめ、痛みで全身が痙攣し、大きく息を吸い込み、意識が次第に遠のいていった。

ぼんやりとした意識の中、誰かが彼女を抱き上げたような気がした。

彼女がやっとの思いで目を開けると、どこか懐かしい冷たい香りが漂っていた。

「雅也……」彼女の声は詰まっていた。

「喋るな」雅也は彼女の目を閉じさせ、複雑な表情で言った。「おばあ様が罰を与えたいのなら、甘んじて受けろ。

最初に俺と結婚することを選んだのは、お前自身だろう?」
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