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第 522 話

Author: 一笠
祝賀会で、凛は美雨から電話を受けた。

室内があまりにも騒がしかったため、彼女はスマホを持って外に出て、廊下の角で電話に出た。「先生」

「まだ私のことを先生だと思っているの?あんな大変なことがあったのに、一言も連絡してくれないなんて。あなたの近況を知ったのもネットのニュースからだったのよ」

美雨は少し責めるように言った。「もし私のことを先生だと思っていないなら、もうそう呼ばなくてもいいの」

「先生、そんなこと言わないでください。先生を心配させたくないだけなんです......それに、この件は色々と込み入っていて、できれば自分で解決したいんです」

凛は優しくなだめるように言った。「それに、大したこと
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