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大学受験の日、冷凍室に閉じ込められた私は死んだ
大学受験の日、冷凍室に閉じ込められた私は死んだ
Autor: ちょうどいい

第1話

Autor: ちょうどいい
双子の姉、高梨安奈(たかなし あんな)と、妹の私、高梨麗奈(たかなし れいな)が生まれたとき、両親はわざわざ占い師を呼び、私たちの運勢を見てもらった。

占い師は、私が安奈より優秀な子に育てば、安奈が重度のうつ病を患うと告げた。さらには、私が安奈を上回る成績で大学受験を終え、その結果が出たあと、安奈は学校の屋上から飛び降りて命を絶つと占った。

その占いを信じ込んだ両親は、「安奈を守るため」という名目で、18年間、何かにつけて私を押さえつけ、我慢を強いてきた。

私たちは、郊外にある庭付きの一戸建てで暮らしていた。

両親は以前レストランを営んでおり、店を畳んだあと、数人が入れるほどの業務用冷凍室を庭の一角へ移設していた。道路に面した門扉から敷地へ入れば、すぐ目に入る場所だった。

その冷凍室は、私が幼い頃からそこにあった。両親は私が言うことを聞かなかったり、安奈より目立つようなことをしたりするたび、罰として私を中へ閉じ込めた。

そして大学受験当日、両親はとうとう私の受験票まで取り上げた。

私はその場にひざまずき、受験票を返してほしいと、額をタイルの床へ打ちつけるほど必死に頭を下げた。

それでも父は私を冷凍室まで引きずっていき、中へ蹴り込むと、外から扉を固く閉ざした。

「お前が受験すれば安奈が死ぬと分かっていて、それでも受験するつもりなのか。安奈を死なせたいのか!」

冷凍室の中は、マイナス30度まで冷え込んでいた。

私は制服のシャツ1枚しか着ていなかった。

扉を必死にたたき、叫んだ。

「お母さん、中は寒い。お願い、ここから出して!」

「いちいち騒がないで!」

母の甲高い声が返ってきた。

「冷凍室なんて動いてないわ!安奈は、大学受験さえ無事に終えれば、あなたのせいで命を絶つという予言から逃れられるの。あと少しなのに、まだ自分のことしか考えられないの?」

足音が遠ざかっていった。

床に打ちつけた額の傷から、血が流れ続けていた。制服に滴った血は、たちまち冷たく固まっていった。

私は冷凍室の扉のすぐ近い隅にうずくまった。

冷気が体の奥まで染み込み、全身が少しずつこわばっていった。

手足の感覚は薄れ、動かそうとしても思うように力が入らなかった。

扉の外から、安奈の声がした。

「お父さん、お母さん、麗奈をここから出してあげて!あんなに成績がいいのに、受験しないなんてもったいない……」

「黙りなさい!」

母は焦りと怒りの入り混じった声で続けた。

「こんなときまで麗奈をかばうの?あの子がテストで満点を取って、あなたに見せつけるように自慢したことを忘れたの?」

母が何のことを言っているのか、すぐに分かった。

あれは、私が10歳のときのことだった。

算数のテストで100点を取り、安奈より20点も高かった。

学校から帰るなり、私はランドセルからテスト用紙を取り出し、両親のもとへ駆け寄った。

うれしくて、早く褒めてもらいたかった。

「安奈より、私のほうがすごいでしょ!」

それを聞いた安奈の目に、涙がにじんだ。

母はその場で安奈を抱き寄せ、責めるような目で私をにらんだ。

父は駆け寄るなり私の頬を打ち、床へ倒した。

鼻血が流れ、100点のテスト用紙に赤い染みをつくった。

その晩、私は罰として電源を切った冷凍室に閉じ込められた。

けれど、冷凍室の中は冷気が残っていた。

翌朝、外へ出されたときには、手足が冷え切ってしびれ、まともに立つこともできなかった。

「麗奈は昔からそうなの。あの占いのことを知ってるくせに、わざわざ安奈の前で点数を自慢して。あのときだって、安奈を傷つけるために決まってるわ!」

母の声は、冷えきっていた。

私は冷凍室の扉にもたれたまま、首を振る力さえ残っていなかった。

違うよ、お母さん。

あのときの私は、まだ10歳だった。

ただ、お父さんとお母さんに褒めてほしかっただけ。

安奈を失うのが怖い。その気持ちは、私にも分かる。

それなのに、どうして私を敵みたいに扱うの?

私だって、お父さんとお母さんの娘なのに……

私は何度も中から冷凍室の扉をたたいた。

冷凍室の電源を切り忘れていると、みんなに伝えたかった。

「お母さん、私だってもう18歳だよ。麗奈のほうが、成績がいいからって、それだけで自分を見失ったりしないよ」

安奈が本気で私を心配していることが、その声から伝わってきた。

「あの星野という占い師が適当なことを言っただけかもしれないでしょ?そんな理由で麗奈を閉じ込めるなんて……」

父がすぐに遮った。

「もういい、安奈!お前をそんな危険にさらすわけにはいかない!」

父は冷凍室の扉へ向き直ると、今度は言い聞かせるような口調になった。

「麗奈、父さんたちは、この家族のためを思ってこうしているんだ。お前だって、自分のせいで安奈が屋上から飛び降りることになったら嫌だろう?

安奈の受験が終わるまで、おとなしく中で待っていなさい。そうすれば、すべて終わるから。な?」

もう声が出なかった。

息を吸うたび、凍るような空気が胸の奥へ入り込み、切り裂かれるように痛んだ。

残った力を振り絞り、最後に一度、冷凍室の扉を強くたたいた。

母が駆け寄ってくる足音がした。次の瞬間、扉が外から強く蹴られた。

「麗奈!いい加減にしなさい!これ以上騒いだら、ただじゃ済まないわよ!」

カチリと鍵の開く音がし、ハンドルが回った。

扉がわずかに開き、細い光が差し込んだ。

その瞬間、心臓が大きく跳ねた。

やっと、助けてもらえるの……?

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