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いきなり挙式!?結婚1日目・いざ、リシュナ領へ

Author: 風野うた
last update Last Updated: 2026-03-04 18:17:52

 「あー、マジか……。苦しいなコレ……」

 ビアンカは腹部に力を入れないよう、愛用の大斧を腕の力だけで肩へ担ぎ上げた。

 彼女の背中で大斧の刃が朝日を受け、艶めかしく輝く。

――――いついかなる時も直ぐに敵を斬れるよう、大斧の刃はビアンカによって、一点の曇りもなく研ぎ澄まされているのだ。

 そんな不気味な輝きを放つ大斧を見せつけられ、侍女たちの顔は強張っている。

――――こんなに大きな斧を振り上げられたら、身を守る術のない自分たちは簡単に死んでしまう。

 侍女たちは死の恐怖をひしひしと感じていたのである。

(侍女たちはあんなに細い腕で良くもまぁ、こんなに締め上げるものだ。腹部に筋肉のないご令嬢だったら、こんなに腹回りへ圧を掛けられたら、命の危険があるのではないか? 大方、私なら大丈夫だということで、ここまでしたのだろうが……)

「侍女の方々、お世話になりました。ありがとう」

 侍女たちはビアンカからお礼の言葉を受けると一斉に壁際へ整列し「行ってらっしゃいませ」と声を揃えた。

 純白のウエディングドレス姿で大斧を担いだビアンカはその様子を一瞥すると、静かに部屋を出ていく。

(本当に身一つの出発になってしまった。この姿では鞄を持つこともままならない。ああ、マクシムの話が辺境伯に伝わって無かったら、色々なものを貸してくださいというところからお願いしなければならないな……)

――――宿舎を出たビアンカはリシュナ領へ転移するため、王宮魔術師団が管理する魔塔へと向かう。王家の所有する魔法陣を利用して、リシュナ領の領都バリードへ転移する許可は昨日、王太子マクシムから貰っているので問題ない。

 ちなみにローマリア王国には王宮魔法師団と王国軍魔法師団という二つの魔法師団がある。

 簡潔に説明すると王宮に属する者は支援系(防御魔法、治癒魔法など)、王国軍に属する者は攻撃系(攻撃魔法・追跡魔法など)に長けているのだ。

(いやー、転移で移動出来るのは本当に助かる!! このドレスを着て馬車で移動なんてしていたら、流石の私もリシュナ領へ到着するころには気を失っているかも知れない)

 ビアンカは太刀傷を受けた時のように浅い呼吸をしながら、ドレスを破かないよう慎重に歩いていく。残念ながら、パンプスは足のサイズが合わなかったため、いつものブーツを履くことになった。幸い、花嫁のドレスは裾が長いので、穏やかに歩けば人様にバレることもないだろう。

――――歩いていると同僚のマリオが、ビアンカを見つけて駆け寄ってくる。

「ビアンカー!? どうしたんだよ、その恰好は……、仮装大会にでも出るのか?」

(あ〜あ、面倒な奴に会ってしまった!!他言無用の特別任務だから、正直に答えるわけには行かないし……)

「いや、まあ……、そんな感じだ。これから孤児院の慰問に行ってくる」

「その磨き上げた大斧を孤児院に持って行くつもりか!?」

 同僚のマリオ・コスナーは半笑いで指摘した。だが、ビアンカは無表情で彼から視線を外し、何も言わずにスタスタと歩き始める。

「いや、待てよ、ビアンカ!! それは俺によこせ! 宿舎に持って帰ってやるから!!」

「――――いや、大丈夫だ。自分で何とかする。マリオ、またな!!」

 いつものビアンカなら自分の失敗を豪快に笑い、互いに近況を伝えあう。しかし、今日はやけにアッサリと立ち去ったような気がした。――――マリオは違和感に首を傾げる。

「もしかして、あいつ本当に結婚でもするのか? ―――いや~、いやいや、それは絶対無いな……」

 マリオはクスッと笑い、国軍の詰め所へ向かって歩き出す。

――――ビアンカは背後に感じていたマリオの気配が一気に遠ざかって行ったので、ホッとした。

(特別任務はまだ始まってもいないのに、いきなり失敗するところだった……。ああ、マジで焦ったー!!)

 その場で腹に力を入れないように気を付けながら、深呼吸を一度して心を整える。

「さあ、急がないと!!」

 ビアンカは誰かと出会う前に魔塔へ辿り着かなければと歩みを早めた。

♢♢♢♢♢♢♢

 リシュナ領はローマリア王国とサルバントーレ王国の国境沿いにある。

 隣国サルバントーレ王国の国王は芸術への造詣が深い。

 彼は国内に学費無料の芸術学校を作り、新進気鋭の作家の育成に励んでいる。また、繊細な手仕事によるモノづくりも有名で一流品と誉れ高いサルバントーレ王国製の靴、鞄、手袋などの革製品はイリィ大陸だけではなく世界中へ輸出されていく。

 隣国は国土は狭くとも、豊かな国なのである。

 この国(ローマリア王国)のあるイリィ大陸は、かつてイリィ帝国という一つの国だった。しかし、五百年前の大きな内乱によって、五つの国に分かれてしまう。

 大陸一の国土を持ち、資源が豊富なローマリア王国、軍事に力を入れている野心的なポリナン公国、元イリィ帝国の皇族が建国したネーゼ王国、イリィ大陸で一番大きな港を持つツィアベール公国、そして、芸術の国サルバントーレ王国。

――――この五か国は愚かなことに今もなお、小競り合いを繰り返していた。

 表向きではローマリア王国、サルバントーレ王国、ツィアベール公国は友好条約を結び、ネーゼ王国とポリナン公国をけん制しているということになっている。だが、現実はそんなに単純ではない。何故なら、ビアンカは隣国サルバントーレ王国やツィアベール公国から攻撃を仕掛けられ、国軍として度々鎮圧に駆り出されているからだ。

 その度に『友好条約とは何ぞや?』とビアンカは疑問に思ってしまう。

 そして、今から向かうリシュナ領は国内で一番、小競り合いが多い地として有名なのである。

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  • 大斧の女戦士ビアンカの結婚(特別任務で辺境伯を探るつもりだったのに気が付いたら円満な結婚生活を送っていました)   何も知らない0日目・プロローグ

    「くっそー!! あの野郎!! 何を企んでいるんだ!?」 ビアンカは地団太を踏む。あの野郎とはこの国の高貴なお方、王太子マクシムのことである。 彼とビアンカはこのローマリア王国の貴族子女が通う王立学園の同級生だ。プライベートでは共通の友人も多く、それなりに気安い仲である。 だが、マクシムが結婚したことを機にビアンカは彼と仕事以外で会うことを止めた。これは他国から嫁いで来た王太子妃に配慮してのことである。(正直なところ、マクシムとは恋仲になる可能性もないただの友人だ。しかし、恋愛脳の貴族たちに男女の友情を語っても通じるはずがない。不用意に一緒にいて、ありもしない噂でも立って、王太子妃様を不安にさせてしまったら、それこそ可哀想だ。女の私から見ても王太子妃様は見た目も性格も可愛い御方だからな。あのマクシムには勿体ないくらいに……)――――昨日、ビアンカは王太子から王宮へ呼び出された。『王国軍・指揮官ビアンカ、辺境リシュナ領への転任を命じる。今後はコントラーナ辺境伯の下でこの国を守れ。期限は定めない。出発は明日の朝だ』『殿下、突然のお話で驚きました。もしや、辺境の地で何か異変でも?』『――――ビアンカ、異変は……、起きていない。だが、この任務はそなたにしか任せられない特別任務だ。詳しいことは辺境伯に聞け。よろしく頼んだぞ!』 ビアンカはマクシムが何かを誤魔化しているような気がして、眉間に皺を寄せる。『殿下、私しか出来ない特別任務とは何ですか? 一人で向かうということは国軍を動かすようなことではないということ……。まさか、私にスパイ活動でもしろというのか!?』『ビアンカ、そんなに構えるな。こちらで段取りは整えておく。そなたは向かうだけでいい』(くう~、マクシムは私の質問に答える気が無さそうだな。仕方がない。特別任務の内容は現地で辺境伯に聞くとするか) 彼女はその場で一度、深呼吸をし、覚悟を決めた。『――――分かりました。謹んでお受けいたします』『ああ、気をつけて向かってくれ』――――ここまで思い返して、ビアンカは今の状況を考える。 昨日のやり取りは茶番だったのだろうか? 何故なら今し方、ビアンカの部屋へ押しかけて来た侍女たちが手にしているのはどう見ても純白の花嫁衣裳にしか見えないからだ。(マクシムよ。この花嫁衣裳を着て、私にどうしろというの

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