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第 34 話

Author: 江上開花
亜夕美は静樹の車に乗り込んだ。

彼女はドア側にぴたりと寄りかかり、男とはかなり距離を取っているが、それでも彼からかすかに病室にいるような薬の匂いが漂ってくる。

冷たくて苦い香り。

彼女が黙っていると、男も沈黙を守った。

交差点に差し掛かった時、後方から車が割り込んできた。運転手代わりのボディーガードが慌ててハンドルを切って避けたため、不意をつかれた亜夕美は車のドアに体をぶつけ、腰の傷が痛んで、思わず悲鳴を上げた。

「怪我をしたのか?」静樹が突然声を上げた。

亜夕美は体を少し硬直させたが、首を振った答えた。「大丈夫です」

静樹は彼女を数秒見つめ、相変わらず抑揚のない声でボディーガードに指示した。
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