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第345話

Author: 一燈月
小夜はベッドから降りて圭介を追い出そうとしたが、肩を強く押さえつけられ、ベッドに押し戻された。

「動くな」

激しい動作で手の包帯がずれ、傷口が少し開いたのだろう。鮮血が小夜の肩の服を赤く染めたが、圭介は顔色一つ変えず、冷ややかに告げた。

「小夜、俺たちはまだ離婚していない。まだ夫婦だ。たとえ今夜、俺がお前を抱こうとしても、お前に拒む権利はないし、拒めもしない。俺を怒らせるな」

小夜は怒りで目を赤くした。この男はいつもこうだ。いとも簡単に怒りの火をつけてくる。

歯を食いしばって言い返した。

「あなたには、そんな卑劣な手段しかないのね」

「役に立てばそれでいい」

圭介はそう言い捨てると、ベッドに上がり、強引に小夜を組み敷いて布団を掛けた。

「大人しく寝ろ」

小夜は怒りで震え、身をよじって抵抗した。その拍子に、頭が圭介の胸の傷――自分が刺した傷――に強く当たった。

圭介は低い呻き声を漏らしたが、すぐにくぐもった笑い声を上げ、手を緩めるどころか、さらに強く抱きしめた。

こいつは正真正銘の狂人だ。

理屈もルールも通用しない。

本当に離婚届受理証明書を受け取るまで乗り切
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