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第432話

Penulis: 一燈月
「俺に直接聞けばいいだろ」

船室から出てきた圭介は、絞りたてのレモンジュースを小夜のそばに置き、笑いながら声をかけた。

小夜は見向きもせず、返事もしなかった。

ダイビングから戻って以来、どこか落ち着かない感覚がずっと小夜にまとわりついていた。

彼が何をしようとしているのかは薄々分かっている。だからこそ、もうこれ以上圭介と関わりたくなかった。

できることなら一言も口をききたくない……彼女はよく分かっていた。圭介という男は、その気になりさえすれば、たいていの女の心を簡単に揺さぶることができるのだと。

それはあの顔立ちの良さだけの話ではない。

だが同時に、彼がこんなふうに甘い空気を纏わせてくるのは、たいてい男の気まぐれに過ぎないことも知っている。獲物が食いつけば満足し、あっさりと手を引くのだ。

その悲惨な幕切れを、彼女は身をもって何度も味わってきた。

今回も、よくこんな手の込んだ演出を思いついたものだ。あの海中都市は確かに壮観だった。だが残念ながら、小夜はこの男のことを知りすぎている。とうに心の壁は築いてあるのだ。

絶対に、溺れたりしない。

もう二度と、痛い思いはしたく
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