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38話

Author: 籘裏美馬
last update publish date: 2026-02-20 16:02:00

来週、樹が恭を引き取りに来る──。

その言葉を聞いた音羽は、暫く呆然としてしまって。

面会室で、看守に促されるまで部屋を出る事など出来なかった。

「何だって!?赤ん坊を、音羽の夫が引き取るだって!?」

音羽と律子の留置所に、律子の鋭い声が響く。

律子の怒声に、それまで音羽の腕の中ですやすやと眠っていた恭は、びっくりして起きてしまい、泣き出してしまった。

「すっ、すまない恭……!起こしちまったね……!」

「大丈夫です、律子さん。私も驚いたんですから、律子さんが驚くのも当たり前です」

音羽は、恭をあやしながらどうしよう、と考える。

だが、どれだけ考えても良い案など浮かんでは来ない。

恭の父親である樹が、引き取ると言うのだ。

音羽にはその申し出を断る事など出来ないし、樹の言葉は確かに頷けるのだ。

恭を、こんな所で育てたくは無い。

例え、音羽が無実を訴えていたとしても、司法は音羽に有罪を突きつけ、実刑を受けているのだ。

事情を知らない人から見れば、音羽は犯罪者なのだから。

そして、あまり環境の良くないこの場所で恭を育てる事も、音羽は心配をしていた。

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