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ー久しぶりの帰還③ー

last update Terakhir Diperbarui: 2025-04-04 07:00:00

4人が去っていく姿をみて、私はただ呆然とすることしか出来なかった。

「一旦実家に戻るか…」

このままずっとここにいるのも変な人に見えるかもしれないと思った私は近くにある実家に帰ることにした。

「ただいまぁ~...」

この時間は洋食屋が混む時間のため裏口からいえのなかにはいる。

「「おかえりぃ…って!え?!え!?」」

裏口は厨房に繋がっているため、たまたま厨房にいた兄さんたちが反射的に返事をしてくれたようだ。

「兄弟揃って同じ反応をありがとう。兄さんにマウロ」

正直先程の様子を見て余計に疲れていた私は少しでも早く休みたかったのだが…と言っても何年も帰っていなかった娘の部屋なんか残っているものなのか…わからなかったため、リビングへ向かった。

リビングで少しゆっくり休んでいると、誰かがすごい音を立てて階段を昇って来る音が聞こえる。

「この音は聞き覚えがあるな…」

昔から「もっと静かにあるけ」おお母さんに怒られていた父さんの足音だ。

「エル!!!」

「ただいま。父さん。」

「ほ、ほんとにエルなのか…?」

「そうですよ~。数年前に結婚して家を出たエルヴィールですよ~」

そもそもなんでそんな泣きそうな顔をしているのか分からない。

結婚をして家を出ただけだと言うのに。確かに、ここ数年戦場にいたから顔すら出せていなかったが…。

「お、お前、今までどれだけ心配したか…。」

心配させるようなこと言っただろうか…。

「父さん、確かに結婚してから全然帰って来れなかったし、手紙も書けなかったのは悪かったよ。ただほらこうして元気だから安心してよ。」

怪我などしてないことがわかるようにぴょんぴょん跳ねて見せる。

「そういう事じゃない。バカもの!!」

そう言ってギューッと抱きしめてくれた父さんの腕の中は昔と変わらないオムライスの匂いがした。

父さんはまだ仕事があると戻っていき、終わるまで起きているよう言われたのでリビングでゴロゴロしながら待っている。

「エル姉。起きて。起きないと兄さんの拳骨が落ちるよ。」

どうやらゴロゴロしながら父さんを待っているといつの間にか寝てしまっていたようだ。

目を擦りながら起きると目の前にはマウロの顔があった。

「マウロ…おはよう。」

「エル姉。おはよう…ってそれどころじゃない。兄さんがこっちに向かってきてるから早く起きて。」

リビングで寝てるといつも女なんだから羞恥心を持てと怒られてきたことを思い出した私はいそいで身なりを整える。

階段を昇ってくる音が聞こえると、父さんと兄がリビングに入ってきた。

どうやら今日の夜ご飯は残り物のビーフシチューらしい。父さんの作るビーフシチューを食べるのが久しぶりなのもあってお腹が「ぐぅ~」となった。

その音を聞いていた父さんがクスッと笑い、

「取り敢えず、エルには聞きたい話があるんだが、まずは腹ごしらえからだな。温かいうちに食べなさい。」

と言ったことで皆がそれぞれ「いただきます。」と言ってご飯を食べ始めた。

久しぶりの父さん特製ビーフシチューは懐かしい味がしてとても美味しかった。

特に最近は戦場でそこまで手の込んだものを食べていなかった。勿論、それでも美味しくなかった訳では無いが…

「なんだか、今日のビーフシチューは塩味が効いていないか?」

そういった父さんは涙を流しながら食べている。

「そうか?いつもと変わらないぞ。」と返す兄さんも凄い顔だ。

何故こんなに2人が泣いているのか分からないでいると、マウロがこっそり教えてくれた。

「2人ともエル姉のことすごく心配していたんだ

。だから今日だけは許してあげて。母さんが居なくなった時も急だったからさ…思い出していたんだと思う…」

マウロも涙目になりながら話してくれたところを見ると相当心配かけたのだろう。

これならもっと早く知らせておけばよかったと、家族に迷惑掛けたなと思いながらビーフシチューの残りを食べた。

「さて、腹も膨れた事だしそろそろ話をしようか…エル。」

そういった父さんはの顔はさっきまで泣いていたのが嘘のように真剣な顔をしていた。

普段優しい人が怒ると本当に怖いものである…

⟡.·*.··············································⟡.·*.

ラウル視点。

数年前、幸せそうに結婚した妹から全く連絡が来なくなったのは2年半前くらいだっただろうか…

結婚してはじめの半年は帰ってこないもののよく手紙がきていた。

そんな遠い距離ではないからたまには顔でも見せてくれれば良かったもののあまり顔を出してくれることがなかった妹が急に顔を出したのだ

丁度、妹と連絡が取れなかった頃だろうか…手紙を送っても帰ってくることはなく、少し違和感が出てきた頃、一度俺のツレでもあるラードンに妹と連絡が取れないことを相談したことがあった。

「そう言えば、アドルフ。あいつ仕事してないのにすごい金回り良くてさ。お前の妹じゃない女と一緒に歩いてるところも見たぞ。」

アドルフとはエルが結婚した男の名だ。

この辺は近所付き合いが昔から盛んで、同年代の知り合いであれば知らない人はいないくらいだ。だから結婚などしたものならすぐ噂が広がる。

「そうなのか…?エルは見かけてないか?」

「エルは見かけていないな…。それとなく聞いてるよ。」

「助かる。ありがとう。もし何か分かったら教えてくれ。」

自分で聞いても良かったが下手に俺が聞くと面倒くさいことになりそうだと感じた俺はラードンにそのまま頼むことにした。

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