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第2話

Author: 旨辛チキン最高
着替えを終えると、謹也はその場に立ち尽くして私を見た。

それからすぐに、不機嫌そうに眉をひそめた。

「どうして急に白いワンピースなんか着ているんだ」

その問いに、どう答えればいいかわからなかった。

凜が手提げ袋を持って部屋から出てきて、私の格好を見るとぽかんとした。

「母さんいい歳して若い娘の真似ごとなの?あのお腹さ、少しくらい痩せられないの?みっともないったら」

私はただ口をきゅっと結んで、苦笑いするしかなかった。

……

レストランへ着いて料理の注文を済ませたら、スタッフがケーキを運んできた。

上には二体の小さな人形が飾られており、白いロングドレスをまとった女性の人形が男性の人形と寄り添っていた。

ケーキが切り分けられた瞬間、謹也と結婚した日のことが目に浮かんだ。

胸の奥に温かいものがじわじわと広がった。

凜も、気が利くじゃないか。

彼はまず、男性の人形のついたケーキを切り分けて父親の謹也に手渡した。

私は手を伸ばし、女性の人形のついたケーキを受け取ろうとした。

ところが彼は振り向いて、謹也の隣に座っていた眉子のほうへ差し出した。

「眉子さんと父さんの舞台二十周年、おめでとうございます。いつまでもお幸せに」

もともと、眉子の演奏パートナーは謹也ではなかった。

元夫がパートナーとの不倫を疑い、ついには手まで上げた。

離婚後、眉子は謹也と組むことになった。

謹也がピアノを弾き、眉子がバイオリンを奏でた。

三人が和やかに笑い合う様子を眺めていたら、むしろ自分がよそ者のような気がしてきた。

食事が始まって間もなく、謹也が何かを思い出したように口を開いた。

「佳澄、先に家に帰っていてくれ。ドドが腹を空かせているはずだ」

ドドは眉子の愛犬で、彼女にとっては大切な宝物だった。

普段から、私たちが外で買ったドッグフードを与えることも許されなかった。

ドッグフードの原材料がわからなくて不安だと言い、心配で食べさせられないとのことだった。

だから毎食、彼女の指定通りに市場で新鮮な肉と野菜を買ってきて、ドドのご飯を手作りしていた。

眉子の透き通った声が静かに響いた。

「大丈夫よ、ご飯を食べ終わってからでも急がなくて——」

謹也は眉子の手にそっと自分の手を重ね、有無を言わせない態度を見せた。

「ドドはお腹が弱いんだ。先に帰ってくれ、あとで料理をテイクアウトで持って帰らせるから」

そして凜が急いで立ち上がり、私の腕を掴んで引き起こした。

「母さん、先に戻ってよ」

「このあと眉子さんの買い物に付き合って高級ブランドのお店にも行くけど、そこにある服なんて母さんには着られないだろ」

私はうつむき、冷ややかに鼻で笑った。

「あんたたちの目には、私は犬以下ってこと?」

かつて「仕事なんてするな、表に出るな」と言ったのは謹也だ。

自分の稼ぎで十分だから、専業主婦でいてくれればいいと言って。

その後、眉子が「女が家で寄生虫のように暮らさないで」と言い出し、私はこの家の家政婦みたいな存在になった。

駆け回って尽くしてきた結果が、犬以下という扱いだ。

眉子は涙ぐみ、困ったように謹也を見つめた。

「全部私のせいね。犬なんて飼うんじゃなかったわ。そんなつもりは全然なかったのに、こんな形で佳澄さんに誤解させてしまって」

そう言いながら、小さな声でしゃくり上げ始めた。

凜は私の腕を掴んでいた手を引っ込め、憎々しげに私を睨みつけた。

「母さん、なんでそんなに自分勝手になったんだよ。

犬のご飯を作るよう頼まれただけで、犬と張り合うって、本当に気持ち悪い」

もうこんな生活には耐えられなかった。

たとえあの時、愛ゆえに結婚したのだとしても、その愛は日々の些細な生活の中で、すでに跡形もなくすり減っていた。

「離婚よ。今すぐ、一刻も待てない」

全身の血が逆流し、心臓は今にも口から飛び出しそうなほど激しく打ち鳴った。

五臓六腑の奥底から、見えない炎が爆発しそうだった。

向かいに座る男も、同じように怒っていた。

泣いている女をそっと抱き寄せながらも、額に青筋を浮かべていた。

私はただ彼を見つめた。

じっと、ずっと見つめ続けた。

彼は無造作に食器の横の箸をつかみ、私めがけて投げてきた。

「偉くなったもんだな。離婚で俺を脅すのは、今日で二度目だぞ。最後に警告しておく。俺は絶対に離婚しないからな」

箸は髪につけていたヘアピンを直撃した。

カシャンという音とともに、箸と一緒に床に落ちた。

私はかがんでそれを拾い上げ、そっと丁寧に汚れを拭い落としたが、欠けてしまったヘアピンの装飾はどうやっても元には戻らなかった。

このヘアピンは、謹也がプロポーズのとき贈ってくれたものだった。

安いものだけど頭につけておいてくれ、いつでも傍にいる証だから、と彼は言っていた。

それを両手で持ち、目がじんとしてきた。

ずっと大切にしまっておいたものを、今日は記念日だからと思って身につけていたのに。

こんな形で、大切にしていたものが壊されてしまった。

謹也は冷たく鼻を鳴らした。

「こんなヘアピン、あとで一万個でも買ってやる。全身に身につければいい。本当に器が小さいな」

言い捨てると、彼は眉子の手を取り、凜と連れ立って背を向け、去っていった。

私はスマホを取り出し、ある男との会話画面を開いて返信を送った。

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