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第8話

Author: 旨辛チキン最高
病院を出るとき、私はあの離婚協議書を空にかざした。

そこに降り注ぐ陽の光を浴びながら、深くため息をついた。

……

それから、謹也は私を訪ねてこなくなった。

次に顔を合わせたのは、コンクールの会場だった。

謹也と眉子も、出場者だ。

私は最後の一枠で演奏することになった。

最後の音を弾き終え、私は立ち上がって客席へと深々と頭を下げた。

曲の終わりとともに、客席から割れんばかりの拍手が湧き起こった。

審査員席の先生方が、満足げな笑みを浮かべていた。

中央に座る審査員が、私に一つ問いを投げかけた。

「ピアノを手放したこの三十年間、後悔はしていますか?」

彼は大学時代の恩師であり、私はかつて、彼にとって最も誇りとする教え子だった。

業界のトップと顔を合わせるたびに、誇らしげに私を引き合わせてくれた。

ピアノを辞めると決めたあの日、先生は何も言わなかった。

ただそこに立ち尽くし、失望したような目で私を見つめたあと、やがて背を向けて去っていった。

あのとき彼が聞きたかったのも、きっとこの問いだったのだろう。

ピアノを手放したことを、私は後悔するだろうか?

考えたこ
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