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第10話

Author: 鳳小安
聡は激昂し、晴香の頬を力任せに殴った。

「そんなはずがない!ありえない!」

写真を見た瞬間、晴香は全身の力が抜け、目を大きく開いた。

写真に写っている女は莉子ではなく、自分だったのだ。

そして自分と一緒に写っているのは、ほかでもない、かつて渚を襲っていた男たちだった。

「晴香さん、本当に、お姉ちゃんを死に追いやったのね!」莉子が突然、声を上げて泣き出した。「聡さんの前で何度もあなたをかばってきたのに。まさか、あなたがこんな人だったなんて!」

さっき扉の前でぶつかった子供の姿が頭をよぎり、晴香は莉子を鋭く睨みつけた。

「あなた、写真をすり替えたでしょ!」

晴香はそのまま莉子に飛びかかり、その首を強く絞めつけた。

「けほっ……聡さん、助けて」

莉子が悲鳴を上げると、聡が駆け寄り、晴香の髪を掴んで力ずくで引き剥がし、床に突き飛ばした。

「いい加減にしろ!昔は証拠がないから見逃したが、今はこの写真がある。これからは、もう容赦しない!」

聡はボディーガードに合図を出し、冷たく言い放った。「こいつを海辺の別荘へ連れて行け」

「やめて、何をする気なの?聡、この写真は嘘よ!莉子がすり替えたのよ、渚を殺したのは莉子よ、信じて!」

「黙らせろ」

聡は憎しみを抑えられなくなり、晴香の弁解さえ耳に入らなかった。

彼の命令と同時に、晴香の肩に衝撃が走り、そのまま気を失った。

次に目を覚ました時、そこは知らない場所だった。

周囲には高い壁がそびえ、窓は小さかった。

晴香は深い水槽の中に取り残され、手足は鎖で固定されて動くこともできなかった。

壁の隙間から絶えず水が注ぎ込まれ、たちまち足首まで浸かった。

「ここはどこ?聡!どうかしてるわ!出して!」

「考えろ。あの時、渚がお前のせいでどれほど絶望したかをな」

男の低い声が上から響く。晴香が顔を上げると、闇の中に聡が潜んでいた。

「聡、お願いだから信じて。渚は私の親友だったの。傷つけるわけなんてないでしょ?」

晴香がいくら叫んでも、聡は聞き入れようとしなかった。

「安心しろ。そう簡単に死なせてやるものか。水位は首の下までゆっくり上がっていく。それまでにこの水槽の中で反省していろ」

そう言って、聡は一度も振り返らずにその場を去った。

扉が閉まる音がした。晴香がどんなに叫び続けても、誰からも返事はなかった。

水が腰まで迫ってきているのを見つめ、晴香は激しく震えた。かつてこれほどまでの恐怖と絶望を感じたことはなかった。

「どうして信じてくれないの?」

涙が頬を伝った。晴香は鎖を振りちぎろうと必死にもがいたが、無駄だった。

水が胸を超え、晴香は力なく笑った。「聡……大馬鹿者よ!」

もう一度チャンスがあるなら、あの時の登山で、命がけで助けたりはしなかっただろう。

放っておけばよかったのだ。

「苦しいか?」

頭上から、勝ち誇ったような女性の声が響いた。顔を上げると、そこには莉子の姿があった。

「ねえ、死の恐怖っていうのはどんな感じ?」

莉子の歪んだ笑みを見て、晴香は可笑しくなった。

「莉子……死んでも、許さないから!」

「あいにくね、聡さんはあなたに死んでほしくないみたいよ」莉子は指先のマニキュアを眺めながら鼻で笑った。「でも、たとえここで死んだって、聡さんは一生気づかないんだから!」

「どういうこと?」

「すぐにわかるわよ」

水は首の下まで上がったけれど、止まる気配がなかった。水位が上がり続け、ついに顎まで届いた。

「この水槽には止水栓があるの。聡さんは帰るときに閉めさせたけれど、私が勝手に開けておいたわ」莉子が狂ったように高笑いする。「死ねばいい!消えてしまえ!あなたが死んだらその心臓を私がもらうの。そうすれば、私は永遠に聡さんと一緒にいられるんだから!」

「ふざけないで……莉子、絶対に呪ってやるから!」

莉子は嘲笑う。「なら幽霊になって出てきなさいよ!待ってるから!」

ついに口元まで水没し、呼吸は鼻だけでかろうじて保たれていた。

間もなくして鼻も浸かり、呼吸ができなくなった。

喉を締めつけるような窒息感に襲われ、晴香の意識はぼやけ、最期の瞬間を悟った。

走馬灯のように思い出が巡り、静かに目を閉じた。込み上げる無念を抱えたまま。

聡。生まれ変わったとしても、二度とあなたには会いたくないわ。

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