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第1478話

Penulis: 夜月 アヤメ
親子の絆を深める作戦は、翌日ついに始まった。

若子は卓実を連れて遊園地へ。最初、卓実はちょっとぎこちなかった。

ママと二人きりで過ごすのは、これが初めてだったからだ。

でも、若子の明るさと、優しくて根気強い関わりに触れていくうちに、卓実もだんだん心を開いていった。

二人でメリーゴーランドに乗ったり、バンパーカーやボート、滑り台、トランポリン、バイキング......母と息子は夢中になって遊んだ。

卓実は汗だくになりながらも、最高に幸せそうで、ぜんぜん止まりたがらなかった。

いつのまにかママにすっかり甘えられるようになり、自分から抱きついて「ママ、だっこ」とせがむことも。

若子も惜しみなく愛情を注ぎ、時には背中に卓実をおぶって歩いた。

でも卓実は優しい。

「ママが疲れちゃう」と思ったのか、少しすると自分から降りて、今度は手をつないで別の遊びに向かった。

その日、若子は卓実から一つの真実を聞くことができた。

前に修の家で見かけたあの女性―実は卓実の心理カウンセラーだったのだ。

卓実が元気がないとき、その先生が話を聞きに来てくれていた。修とは何の関係もなかった。

以前は、その女性を見て「修に新しい恋人ができたのかも」と勘違いしていたけど、自分の病気や修の肝移植のことなど色々あって、すっかり忘れていた。

本当のことを知った今、若子は息子にもっと申し訳なく感じるし、彼女が自分のいない間、卓実を支えてくれていたことにとても感謝した。

......

一方その頃―

修と初希は、思ったほど順調ではなかった。

修は「今日は俺がご飯を作ってあげる!」と意気込んでいた。

レシピどおりに作れば、簡単だと思っていた。

―が、現実は違った。料理を焦がしてしまったのだ。

初希は、気が付けばもうすぐ午後二時。お腹がぺこぺこになって、仕方なく冷蔵庫からリンゴを取り出し、かじっていた。

修は情けなく思い、結局プロの料理人に最速でランチを作ってもらうことに。

初希は夢中でご飯を頬張り、修は「ゆっくり食べな、喉に詰まるぞ」と注意した。

すると初希が、不思議そうな顔で修を見つめて質問した。

「叔父さん、パパと仲良しなの?」

修は不意に千景のことを聞かれて驚いた。

「まあ、仲良しかな。君のパパはすごくいい人だったよ」

「ママもそう言ってた。でも、ママは叔父さ
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