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第1088話

Author: かおる
もし、あの時、仁志が彼女のそばにいてくれたなら――

それはどれほど良かっただろう。

そうすれば、あんな悪夢のような体験をすることもなかったはずだ。

優芽利の脳裏に、ふと一つの考えが浮かぶ。

――もし星がいなくなったら。

――仁志は、自分だけのものになるのではないか。

……

星が階段へ向かおうとしたその時、小さな影が勢いよく彼女の胸に飛び込んできた。

「ママ!」

星は咄嗟に翔太を抱き留める。

「翔太、どうして降りてきたの?」

翔太は星にしがみついた。

「ママに会いたくなったんだ」

「さっき、用事が済んだら上に行くって言ったでしょう?」

翔太は小さな声で言った。

「もうすぐ、パパと一緒に帰らなきゃいけないんだ。

次に会えるのが、いつになるか分からないから......

もう少しママと一緒にいたくて」

星は眉を寄せる。

「ここは人が多いの。

一人で出てきたら危ないでしょう」

「鈴木おじさんにお願いして、連れてきてもらった」

そう言われて、星はようやく、少し離れた場所に立つ航平に気づいた。

航平は言った。

「さっき翔太の様子を見に行ったら、君に会い
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