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第379話

Author: かおる
二人の会話は、まるで障害など存在しないかのように流暢だった。

その外国人審査員の名はノア。

三十歳、れっきとしたF人だ。

彼が発言した目的は、悠のように星を難詰するためではない。

ただ彼女のF語力がどれほどのものか、試してみたかったのだ。

ノアの質問は巧妙だった。

難しすぎず、しかし確実に実力を測れるよう仕組まれていた。

だが星はすべて淀みなく答え、どんな問いも軽やかに受け止めた。

最後にノアは軽く拍手を送り、顔に賞賛の笑みを浮かべる。

そして流暢なJ語で告げた。

「このお嬢さんは、文句なしの満点です!」

言語学の専門家であり、本場F人でもあるノアの評価は、まさに悠への痛烈な一撃だった。

だが悠には、反論も不満も口にする勇気がなかった。

なぜなら、ノアはF国四大名門家系のひとつの出身だからだ。

――この中卒の主婦が、どういう巡り合わせでノアに気に入られるというのか。

悠は腹の底で毒づく。

ノアは名門の生まれゆえに、常に目が高く、普通の女など眼中に入らない。

しかも細部にうるさく、些細な欠点でも厳しく指摘する性格だった。

先ほどの清子と翔太のペアの演技にさえ、彼は九十六点しかつけなかった。

だが今、星達には迷うことなく百点を与えたのだ。

悠の胸中には、なおも軽蔑の色が残っていた。

――聞けば、この女は中卒の捨てられ女だという。

清子には到底及ばない。

彼が清子を高く評価していたからこそ、勇の頼みを聞き入れていたのだ。

しかし今は、一言も反論できず、ようやく絞り出したのは乾いた一言。

「......すまない。

私の勘違いだった」

そう言って、先ほどの零点を訂正し、満点へと書き換えるしかなかった。

こうして星は百点満点を獲得し、舞台を降りた。

彼女の後にはまだ演者が控えている。

星は執拗に食い下がることなく、観客へ一礼して感謝を示すと、怜の手を取って舞台を下りていった。

一方、翔太の席周辺は、暗雲が垂れ込めたように重苦しい。

確実に一位を手にするはずだった勝利が、星に攫われたのだ。

清子は無意識に拳を握り、銀の歯を噛みしめる。

――星野星。

きっと私の前世からの仇敵に違いない。

そのとき、不意に勇の携帯が鳴った。

慌てて取り上げると、発信者は父親だった。

「父さん、何か用?」

電話口から父の満ち足りた声が響く。

「勇、よくやったな。

ようやく頭を使ったじゃないか」

勇は狐
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メイメイ
父ちゃん大喜びだったね!ウケる(爆笑)
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