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第949話

Author: かおる
正道は、怒りで胸を大きく上下させた。

まるで、娘が傷つけられたことを知った、

慈父そのものだった。

「怜央......

あいつだけは、絶対に許さん!」

靖は、眉をわずかに動かし、星のほうを見る。

「星。

確かに、怜央は、明日香のために報復した。

だが、この件自体は、明日香とは無関係だ。

彼女は、何も知らなかった。

今も、M国の病院に入院している。

腕に硫酸をかけられ、皮膚を損傷して、治療を受けている最中だ」

星は、何も答えなかった。

たとえ、明日香が指示していなかったとしても、発端が彼女であることに変わりはない。

「責めない」と、簡単に言えるほど、彼女は大らかではなかった。

正道は、ようやく感情を抑え、言った。

「星。

安心しなさい。

この件は、父さんが、必ず公正な落とし前をつける」

星は、わずかに視線を落とした。

――落とし前。

どうやって?

彼女の知る限り、雲井家と司馬家は、明日香と怜央、そして司馬家との関係を通じて、深い提携を結んでいる。

怜央は、長年、明日香を追い続け、その見返りとして、ビジネス面では、雲井家に大きな利益をもたらしてきた。

他の取引先が、彼から利益を引き出すことは、ほぼ不可能だった。

葛西家でさえ、例外ではない。

――だからこそ、靖は、明日香を、これほど重視している。

星は、正道が、自分のために、司馬家との提携を断つとは、到底思えなかった。

その考えを察したのか、正道が言う。

「星。

雲井家と司馬家の協力関係は、関わる範囲が広く、一言二言で、説明できるものではない。

それに――

雲井グループほどの規模になれば、私一人の判断で、すべてを決められるわけでもない。

たとえ、私が提携解消を望んでも、株主たちが、首を縦に振るとは限らない」

靖が、眉をひそめて続けた。

「星。

いずれお前も、雲井グループの一員になる。

分かっているはずだ。

商いの世界に、永遠の敵はない。

あるのは、永遠の利益だけだ。

司馬家との提携を断てば、双方にとって、計り知れない損失になる。

怜央については......」

数秒、沈黙してから言った。

「この恨みは、胸に刻んでおく。

いつか機会が来たら、雲井家は、必ず報いを受けさせる」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、扉のほうから、低く冷え
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