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第7話

Auteur: ミズキ
捨てるたびに、紗江の顔から少しずつ重苦しさが消えていく。

……

最後のものが水面から沈んで消えた瞬間、痩せた顔にふっと柔らかな笑みが浮かんだ。

もうすぐ、彼女は生まれ変わる。

だが、翌日、晃は紗江に無理やり宴会への参加を求めてくるとは思わなかった。

ボディーガードがサイズの合わない服を2着届け、ドアの前で待機している。

これを着て宴に出るか、それとも部屋に閉じ込められるか。

紗江は一目で、それらが吉岡雛乃の着古した服だと気づいた。

もしこれを拒めば、残るのは昨日着た汚れた服だけ。

かつての彼女なら、この露骨な嫌がらせにすぐさま声を荒らげ、晃に泣きついていただろう。

けれど今はもう違った。

紗江は黙って、そのドレスをゴミ箱に突っ込み、昨日の服に着替えた。

やがて部屋から出てきた紗江を見て、ボディーガードは一瞬呆気に取られた後、皮肉げに口元を歪めた。

「小松さん、自分で選んだんですからね。誰にも強制されてませんよ?あとで篠田さんの前で泣きついたって知りませんから」

その言葉に、紗江は冷ややかに彼を見返した。瞳に一瞬だけ閃いた険しさに、男は思わず身を引いた。

陽光の中、彼女は痩せた背筋をピンと伸ばしていた。琥珀色の瞳には溶けない氷が張り詰めている。

彼女は冷ややかに言い放った。

「世の中の人間が全員、吉岡と同じだと思わないで」

それだけ言い残して、紗江はまっすぐその場を後にした。

宴にはすでに多くの人が集まっていた。ほとんどが晃の友人で、紗江にも見覚えのある顔ぶれだ。

まだホールに着かないうちから、楽しげな笑い声が聞こえてくる。

皆がテーブルを囲み、ゲームをしたり、昔話に花を咲かせたりと、実に賑やかだった。

話題は晃の学生時代のことばかり。

「晃さ、俺たちずっと思ってたんだよね。最終的には絶対、雛乃と一緒になるって。家柄も似てるし、同じ学校で育った幼馴染なんだし」

「まあまあ、今日は楽しくやろうよ、そんな話はよそう」

「はっきり言わせて、あの紗江、親の素性すら分からないような田舎育ちの孤児だろ?顔が綺麗でも、晃のためにならない」

「やっぱ晃と雛乃の方がお似合いだって。あの女、しかも刑務所帰りなんだろ?晃、忠告しておくけど、たまには責任感を捨ててもいいんじゃないか。普通の人間なら、一生見られない世界を見せてやったんだから、感謝されるべきだよな」

中心にいた晃は、何も言わず、黙ってグラスを傾けていた。

紗江はしばらくその姿を見つめていたが、やがて静かに前に進み出た。

彼女の姿が現れた瞬間、先ほどまで好き勝手に語っていた連中は一斉に口をつぐんだ。

そして、彼女の服装に気づいた者たちは目配せをし、不快そうな嘲笑を隠そうともしなかった。

だが紗江は、まるで見えていないかのように振る舞い、冷静に声を上げた。

「私の席は?わざわざ手を尽くして招いたのに、まさか席も用意してないの」

その言葉に視線を向けられたのは晃の隣に座っていた雛乃だった。

雛乃は一瞬目を伏せ、わざとらしく悲しげな表情で立ち上がった。

だが晃は彼女の手を握り、優しくも強引に言った。

「君がここに座ってろ」

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