Se connecter「勘違いするな。私は国宝なんぞに興味はない。私がほしいのはお前の心だ」
「どういうこと?」 「惚れた女の心を欲しがるのは、普通のことだろう? 話を国宝に戻すが、陽の国の首飾りには、豊穣の力が宿ると聞く。実際、お前が宵の国に来てから、毎日少し暑い。陽の国では普通の気温なのだろうが、宵の国では異常だ」その話は、マリアネラも知っている。豊穣の力はその地を作物にとって程よい気候にしてくれる。宵の国は、他国よりも照射時間が短く、夜が長いせいか、肌寒い日が多い。
「気の所為でしょう」苦し紛れなのは重々承知だが、焦っているせいか、それ以外に言葉が見つからない。
「気の所為というには、偶然が重なりすぎている」 「どういうことです?」 「我が国の国宝は、先導者の水晶玉。この水晶玉は国の行く末を我々に知らせる。毎年どの作物を植えるかも、先導者の水晶玉が決めるのだ。今年は雨が例年より多いから、それに適した作物を指示してきたというのに、お前が来た日から、陽の光を好む作物を植えるように指示しだした。お前が豊穣のマリアネラは毎日祈った。チェセルと軍隊。そして両親の無事を。 そして少しでも力になればと、非常食作りや荷造りを手伝った。 負傷者や戦死者が運ばれるたびに不安で押しつぶされそうになりながらも、手当をし、安らかに眠ることを祈った。「マリアネラ様に手当していただけるだなんて、光栄です」 負傷した兵士は照れくさそうに笑う。「私にできることなど、これくらいですから……」「そんなお顔なさらないでください。チェセル隊長はご無事です。きっと今も、あなた様の為に、剣を振るっていますよ」「無事なのね、よかった……」 チェセルの無事を知って安堵するも、それは彼が運ばれてくる前の情報だ。今頃負傷しているかもしれないと思うと、再び不安にかられる。「マリアネラ様、これを」 兵士は懐から箱を取り出した。それはマリアネラがクッキーを入れて手渡した箱だ。「隊長が「美味であった」とおっしゃられていました」「そう、そうなのね……」 涙をこらえきれず、箱を抱きしめて静かに泣く。「マリアネラ様。俺は怪我が治ったら、また戦場に戻ります」「え……?」「俺達負傷者がすぐに国に帰されるのは、また戦場に戻るためなんです。怪我を癒やして戻ってこいと、チェセル隊長にも言われました。俺が戻る時、また隊長にクッキーを焼いてくれませんか? 俺が責任を持って届けますから」「いいの……?」「もちろんですとも! 愛の力は偉大ですね。隊長、いつも以上に張り切っちゃって、敵を次から次へと薙ぎ払って、すっごく頼もしくて、かっこよくって! イテテ……」 兵士は興奮気味に身振り手振りを交えながら、マリアネラに伝えてくれる。傷に障ったらしく、包帯の上から傷をさする。「もう、無理はしないで。でも、ありがとう。あなたが戻る時に、またクッキーを焼いておくわ」「はい! きっとチェセル隊長もお喜びになると思います」 マリアネラは改めて兵士に感謝を伝えると、自室に戻って箱を開ける。土埃が着いた箱の中には
翌朝、マリアネラは朝日の眩しさで目を覚ます。寝ぼけ眼をこすりながら起き上がり、ぼんやり外を見る。 門の前にある広場に、多くの兵士が集まっているのが見えて目が覚める。「チェセル!」 彼と寝ていたことを思い出し、隣を見るも、彼はいない。触ってみると、ベッドは冷たい。だいぶ前に部屋から出たらしい。 マリアネラは慌てて着替え、1階に降りる。外に向かう途中、甲冑を身に着けたチェセルとばったり会った。「チェセル……!」「マリアネラ、起きていたのか」 紺色の甲冑を身に着けたチェセルはいつもより精悍な顔つきをしているように見えた。その姿がこれから戦争が始まると実感させて胸が痛くなる。(ダメ、私も向き合うって決めたじゃない) まっすぐチェセルを見上げる。「よかった。起きたら見当たらなかったので、もう行ってしまわれたかと……」 「お前の顔を見る前に行くわけがないだろう。出発まで、まだ時間がある。もう少し寝ていてもよかったのだぞ?」 「いえ、できるだけ一緒にいさせてください」 「ふ、いじらしいことを。私は必ず生きて帰る。不安に思う必要などない」 「それでも、心配です」 「できるだけはやく帰る」 チェセルはマリアネラを抱き寄せ、触れるだけのキスをする。「お前も来るといい」 一緒に外に出ると、門の前には先程より多くの兵士が集まっていた。「ここにいろ」 マリアネラは門の近くに設置された椅子に案内される。そこには数名の家臣が複雑な顔で兵士達を見つめながら座っていた。 人々は忙しなく動き回り、整列する。軍隊の後ろには救護班などがいて、その中に女性がいるのを見つけた。(私も、一緒に行ければいいのに……) きっと許可は出ないだろう。仮に行けたとしても足手まといになるのは明白だ。マリアネラはもどかしい気持ちを抱えながら、彼らを見守る。 整列した軍隊の前にチェセルが立つ。 「これから夕の国との戦争が始まる。卑劣な夕の国から、陽の国に再び陽の光を
ふたりの息遣いだけが、部屋を満たす。呼吸が落ち着くと、チェセルはマリアネラの目を真っ直ぐ見つめ、抱き寄せた。「明日から戦争が始まる。夕の国に遅れを取るつもりはないが、万が一城に攻め込まれたら、テーブルで扉を塞げ。テーブルの下に敷いてある絨毯をめくれば、地下に続く小さな扉がある。ひと月分の水と食糧と、護身用の銃と予備の弾丸がある」 チェセルの話で甘い幻想から血生臭い現実に戻される。マリアネラは残念に思いながらもチェセルを見上げ、疑問を口にした。 「2階なのに、隠し扉? それに、銃なんて……」 「盲点だろう? だからあえて2階に作ったのだ。ここの真下は、物置部屋だ。物置部屋の裏に隠し部屋がある。それに、銃なんてなど言うが、私が以前贈ったナイフより、心強い武器だろう」 「それは、そうですが……」 返答に困った。それらが必要になるということは、チェセルの死を意味する。そんなこと、考えたくもない。特に、今は。 「私が率いる軍と、鍛えた使用人がいるとはいえ、いつ何が起こるか分からない。それが戦争だ。最後に自分を守れるのは自分自身。襲われたらためらわずに撃て。私の大事な宝物を、お前自身を守るのだ。よいな?」 「はい……」 彼の眼差しを見て、本気で心配してくれていることが伝わる。チェセルはマリアネラのために戦うのだ。いい加減、自分も現実を受け入れなければならない。 「いい返事だ」「チェセル……。私、あなたのこと、あ……、!」 愛の言葉は唇に添えられた指で止められてしまった。 「おっと、その言葉を口にするのは、まだはやい。その言葉は、私が帰還する時まで取っておいてくれ」 今のマリアネラは奴隷だ。彼との約束は、陽の国を取り戻したら彼の妻になること。きっとチェセルは、奴隷としてのマリアネラではなく、妻としてのマリアネラからの愛がほしいのだろう。そう解釈したマリアネラは、大きくうなずいた。 「分かりました」 「お前からの愛の言葉、楽しみにしている。おやすみ、マリアネラ」 チェセルはマリアネラの額にキスをすると、脱ぎ捨てた服を拾おうとする。「チェセル」
腹部に熱い何かを乗せられる。恐る恐る視線をそちらに向けると、チェセルの太く逞しい陰茎だった。彼の陰茎は、ちょうどマリアネラのへそまである。「お前の体は心もとないな。私のモノが、へそに届くぞ。入れたらこの位置まで入るということだ。全部押し込んだら、お前の子宮が潰れてしまいそうだ」 「や……!」 恐怖で身を固くすると、チェセルは安心させるように体を撫でた。 「お前の神聖な体を貫くのは、戦争が終わってからだ。それに、無理やり全部ねじ込むつもりはないから、そう怯えるな」「はい……」 チェセルはマリアネラに覆いかぶさり、力強く抱きしめる。体が密着し、性器が擦れた。「あっ……」 「分かるか? 私達の性器が擦れ合っているのが。今から入れなくてもお互いに気持ちよくなれると教えてやる」 チェセルはマリアネラの額にキスを落とすと、律動を始めた。先端が蜜壺の入口とクリトリスを擦る。舌や指での愛撫とは違う快感に震え、チェセルにしがみつく。「あ、あぁっ♡ チェセル、チェセル……!」 たまらずに彼の名を呼ぶと、チェセルは悩ましげに熱い吐息を零す。 「我ながらこんなにがっついてみっともないと思うが、私がここまで執心するのは、お前だからだ。お前のすべてが私を狂わせる」「んむぅ……♡」 唇を塞がれ、激しく舌を絡められる。マリアネラも応えようと彼女なりに必死に舌を絡ませた。 「こんな大男が、宵獅子と恐れられている男が、お前のような小娘相手に必死になって、馬鹿らしいと思うか?」 「そんなこと、ありません……。んんっ、ふ……♡」 「私相手にそんなに優しいこと言っていいのか? 調子に乗って漬け込むかもしれんぞ?」 「構いません」 「酔狂だな、お互い」 チェセルは苦笑してキスをする。マリアネラは彼の背中に腕を回した。少しでも多く、チェセルのぬくもりを感じたかった。 「あ、ああぁっ、は、んんっ♡」 「お前の潤んだ瞳を見ているだけで、気分がよくなる。もっと無防備でか弱い部分を、私だけに見せて欲しい。縋るようなその眼差しを、私だけ
「ひゃううぅっ♡」 熱い舌が、敏感な蕾を撫であげる。ひと舐めされるたびに目の前がチカチカして、体の力が抜けていく。「きゃふっ、あ、あああっ♡ んぅ、ひああっ♡」「少しクリトリスを吸い上げただけで、派手に鳴くようになったな」「だ、だってぇ、こんな、すごいの……あうぅっ♡」 蜜壺に指が入り、Gスポットに軽く擦れる。以前はそこまで感じなかったというのに、震えるほど敏感にされてしまった。 「ここも、私の指をすんなり受け入れる。ゆっくりだが着実に、私のものになりつつある。これがどれほど喜ばしいことか、お前には分かるまい」「きゃふっ♡ あ、ああっ♡」 ナカをかき混ぜられ、Gスポットを指の腹で擦られ、下腹部がじんわり熱くなる。 「以前は大して反応もしなかったGスポットでも、感じられるようになったではないか」 「2本目、追加するぞ」 「あうぅっ♡」 指を増やされただけで感じてしまい、体が小さく跳ねる。チェセルは満足げにその様子を見ていた。 「指を追加しただけで、可愛い反応をする……。お前ほど私を喜ばせることができる女は、存在しないだろう」 「そろそろ3本目の指を入れるぞ。覚悟はいいな?」 「は、はい……」 マリアネラは緊張しながらうなずく。今までは2本の指しか入れてこなかった。3本目は未知の領域だ。 3本目の指がずぷりと入り、蜜壺を広げていく。「んっ、く……!」 想像以上の圧迫感に、身を固くする。内臓がせり上がるような感覚に震え、涙目になってしまう。 「3本は流石に苦しいか。だが、私のモノは、指3本よりも太く長い。これくらい、すんなり受け入れられるようにならなくてはな」「こ、これより……!?」「そう不安がるな。今すぐ入れるというわけではないのだ。私が戦場にいる間、せいぜい心構えでもしておけ」「あふ、んんっ、ふ……」 ゆっくり動かされるが、快楽より圧迫感が勝つ。マリアネラは息をするのに精一杯だ。 「まだ苦しいか? 私の指に合わせて、腰を動かし
唇が重なり、チェセルの舌がマリアネラの唇に触れる。マリアネラが彼を迎え入れるように僅かに口を開けると、舌が侵入し、マリアネラを味わうようにゆっくり絡んでくる。「んんっ、ふ、はぁ……」 キスにはまだ慣れていない。解放されて肩で息をすると、触れるだけのキスが落とされる。 「じっくり時間をかけて愛したいところだが、隊長が寝坊をしては、示しがつかん。手早く済ませるぞ」「はい……」 明日は戦争だ。こんな遅い時間に会いに来てくれただけでも感謝するべきだと頭では分かっていても、「手早く」という言葉が引っかかって寂しさを覚えてしまう。顔に出てしまったのか、チェセルは小さく笑い、再びキスを落とす。 「そんな顔をするな。時間はかけられないが、ありったけの愛を伝えてやる」 「はい……!」 たった一言でこんなにも心が軽くなる。(チェセル……。私、あなたを愛しています) 息さえ忘れる深いキスを受け入れながら、チェセルへの愛を心の中で紡ぐ。唇が離れると、チェセルの手はネグリジェに伸びた。「あ……」 脱がされると思うと、つい身構えてしまう。ただでさえ慣れていないのに、時間が空いたせいで、緊張が抜けない。 「相変わらずウブで可愛らしいな」 チェセルは頬にキスをすると、丁寧にネグリジェを脱がせていく。マリアネラはどこを見ていいのか分からず、目を閉じて大人しく脱がされる。「んんぅ……!」 首筋を指先で撫でられ、驚いて目を開く。愛おしそうに自分を見下ろすチェセルと目が合った。 「お前の肌は、絹のようになめらかだな。この柔らかな肌にしばらく触れられないのは、やはり寂しいものだ……」 チェセルの熱い舌が、マリアネラの白く細い首筋をなぞり、時折甘咬みされる。歯が立てられるたびに、もっとと願いながら、獅子の下で囀る。「んぅ、あ、あぁっ……♡ チェセル……。はぁ、んっ♡」(もっと、痛くして……) その願いはマゾヒズムからではなく、少しでも自分の身体に愛を刻んでほしいという純粋な願望。 「首筋から
お茶が終わると、安全な場所にいる安心感からか、うとうとしだす。彼女の眠気を軽減させたのは、ノックの音。「はい」「マリアネラ様、お風呂の準備が出来ました。ご案内します」 メリーの声だ。マリアネラは部屋から出て、メリーの案内で浴室に行く。探索時に少し覗いたが、脱衣所は広々としている。「お着替えはそのかごに入っています。今お召になっているものは、そちらの箱に入れてください。では、ごゆっくり」 メリーは一礼して脱衣所から出ていった。マリアネラは着ていた襤褸切れを箱に入れ、浴室に足を踏み入れる。温かな空気に、頬が緩む
ドアが閉まると、マリアネラはサイドテーブルへ駆け寄り、水差しにある水を一気に飲んだ。王女としてはしたない飲み方ではあるが、ひどく喉が渇いていたのだ。 夕の国で出される水は、ゴミや虫が浮いており、飲めたものではない。朝と夜に1回ずつ、風呂の代わりに水をかけられる。その水は井戸水だった。だからマリアネラは、水をかけられる時に口を開け、少しでも水分を取ろうと必死になっていた。 幸い、夕の国は雨が多い。マリアネラが入れられたボロ小屋には、ところどころ穴が空いているため、雨漏りが酷い。その雨漏りがマリアネラの命綱だった。「ふぅ、お水って、こんなに美味しかったのね……」 久しぶりに飲む綺麗な水
「嫌がることをしない、ねぇ……。例えば?」「お前の純潔は奪わずにいよう」「え?」「男は初体験などさっさと済ませたい生き物だが、女は違うだろう? 王族なら尚更だ。王女の純潔は国の宝といっても過言ではない。お前の純潔をいただくのは、陽の国を取り返してからだ。これで文句はあるまい?」「本当に?」 にわかに信じがたい話だ。男が女性に無理やり関係を迫り、結婚したという話はよく聞く。それにマリアネラは奴隷だ。彼女の意思など無視して抱いてもおかしくない。「くどい女だな。だが、慎重な女は嫌いではない。顔合わせも済んだことだし、そろそろ行くとしよう。まだ公務がたまっているのでな。夜になったらまた来
入ってきたのは、高身長でガタイのいい若い男。美しいブロンドの髪に、燃えるような赤い瞳。そして自信に満ち溢れたオーラが、彼が只者ではないと直感させた。 マリアネラはその男に見覚えがある。だが、何日もまともな食事をしておらず、頭が回らないせいか、この男が何者なのか思い出せない。自分が知っているのだから、貴族なのだろう。 男はマリアネラの前まで来ると、目線を合わせようとかがんだ。目力の強さに目をそむけたくなるが、ここで目を逸らせば、自分が弱者だと認めるようなもの。マリアネラは男の目をじっと見つめ返した。「ふっ、いい目をする。舌を噛むなよ」 男はそう言って猿轡を外す。口が自由になり、安堵の