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204.最終決戦、過去との決着

last update Last Updated: 2025-08-31 19:02:59

啓介side

「今度は佐藤さんと凜が繋がっていた?なんだよ、それ。」

佳奈から、佐藤との会話の内容を聞いて俺たちは驚きと呆れで言葉を失っていた。凛がどんな人脈と行動力を持っているのか、そして、なぜ佐藤さんは本性を分かったうえで彼女と関わったのか。そのすべてが信じられなかった。

「私も驚いたわ……それにしても彼女、どんな人脈と行動力をしているのよ。それに佐藤さんも佐藤さんよ。」

佳奈は呆れながらもどこか複雑な表情をしていた。この一連の騒動に心底うんざりしているのだろう。そんな佳奈の姿を見て俺は決意を固めた。もうこれ以上、佳奈に迷惑をかけるわけにはいかない。

「なあ、凛の件、俺に任せてくれないか。一度、本人と話をしてきたいんだ。」

俺の言葉に、佳奈は不安そうに顔を曇らせた。

「え、でも……。」

「大丈夫。問題にならないように十分気をつけるし予防もする。これ以上、佳奈にも、俺たちの関係にも、無用な騒ぎを起こさせたくないんだ。信じて待っていて欲しい。」

俺の真剣な眼差しに、佳奈は不安ながらも頷いた。

「分かったわ……。」

翌日、俺は凛の仕事が終わるタイミングを見計らって電話を掛けた。

「もしもし、凛か。話があるんだ。場所はどこでもいい。会ってくれないか。」

電話の向こうで、一瞬の沈黙があった後、凛の低い声が聞こえてきた。

「……ええ、いいわよ。」

(元はと言えば、俺が凛とうまく別れなかったのが原因で、ここまで佳奈を巻き込んでしまった。今日で凜との関係をすべて終わらせる)

心臓が高鳴る。佳奈との結婚のために、これ以上、周りを惑わすことがないように、凛と向き合うために俺は指定された場所へと向かった。
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