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39.執務室

last update Veröffentlichungsdatum: 19.09.2026 18:00:42

 入れ代わり立ち代わり色んな人が出入りして、せわしなく動く。

「ナノリア、すまない。少しだけ席を外す」

「はい」

「何かあったらベルを鳴らせば、隣の部屋に侍従がいるから」

 しばらくすると、そう言ってブレイクが執務室を出ていった。

「はい。行ってらっしゃい」

 扉が閉まる音が、やけに大きく響く。

 一人になっちゃった。

 そうなると途端に静かな部屋。

 机の上の書類の音だけが、かすかに残っている。

 窓辺まで歩いて行って外を見てみる。なかなかいい景色だ。王城の庭園が一望できる。——あ、あんなところにリンゴの木らしきものが。

 そんな風に庭園の景色に見入っていた時。

 ——ギィ。

 扉がゆっくりと開いた。

 ノックもない突然の事に心臓が跳ねる。

 ブレイクが帰って来たのかと振り返ったら、そこに立っていたのは、アディノスだった。

 びっくりしすぎて声も上げられなかった。
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     入れ代わり立ち代わり色んな人が出入りして、せわしなく動く。「ナノリア、すまない。少しだけ席を外す」「はい」「何かあったらベルを鳴らせば、隣の部屋に侍従がいるから」 しばらくすると、そう言ってブレイクが執務室を出ていった。「はい。行ってらっしゃい」 扉が閉まる音が、やけに大きく響く。 一人になっちゃった。 そうなると途端に静かな部屋。 机の上の書類の音だけが、かすかに残っている。 窓辺まで歩いて行って外を見てみる。なかなかいい景色だ。王城の庭園が一望できる。——あ、あんなところにリンゴの木らしきものが。 そんな風に庭園の景色に見入っていた時。 ——ギィ。 扉がゆっくりと開いた。 ノックもない突然の事に心臓が跳ねる。 ブレイクが帰って来たのかと振り返ったら、そこに立っていたのは、アディノスだった。 びっくりしすぎて声も上げられなかった。 アディノスは、扉の影に半分隠れるように立っていた。 そうしていると本当に以前のような輝きはどこにもない。ただの犯罪者にしか見えない。 油断のない目つきで部屋の中をぐるりと見渡し、それから標的を定めたようにじっと私を見てくる。 その視線が、背筋を冷たくした。「……ナノリア」 名前を呼ぶ声が妙に湿っていて、低い。 さっきブレイクといた時は虚勢を張って、まだはっきりと喋っていたのに。今はもっと、ねっとりしていて、すごく嫌な感じだ。 アディノスが一歩、部屋に踏み入れた。「こ、こな……」 来ないで、が声にならない。 どうして。控えているはずの警備は、侍従は。 聞くまでもないだろう。ここはアディノスの城だ。彼を止めるものなんてどこにもいないのかもしれない。 その動きはゆっくりなのに、逃げ道を塞ぐような圧があった。 私は反射的に窓辺から離れた。 心臓が早鐘のように鳴る。

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  • 妖精に転生した私は、年上の摂政殿下にめちゃくちゃ甘やかされる   37.ナノリアの変化

     ようやく空気が緩んだと思ったら。 アディノスは、今度は私を睨んだ。「……おい。ナノリア」 その声は、さっきまでブレイクに向けていた虚勢とは違う。 もっと、ねっとりとした、嫌な響き。あからさまに上からの高圧的な呼び方だ。 そのままじろりと値踏みするような視線を感じる。「……お前、何か……変わってないか?」 言いかけたところで、ブレイクが静かに遮った。「殿下。礼節を守ってください」「礼節って……こいつにそんなもの」 言いながらアディノスは腑に落ちないとでもいうように、じろじろと私を見た。そろそろ居心地が悪くなって、ブレイクの背中に隠れようかと思う。 アディノスの視線は、羽の方で止まった。 何が不快って——まるで自分の所有物が勝手に変化したとでも言いたげな、そんな態度。 嫌悪感が全身を走る。「なんか、羽が勝手にでかくなってないか」 ブレイクが即座に声を低くした。「殿下。ナノリアは殿下の何だというつもりです。勝手に、というのはどういう意味で言ってるんだ」 俺の所有物だよ、とでも言いたげな顔だ。 それを言うとブレイクに言い負かされるのがわかってるから、表情にだけ出してくる。 アディノスは悔しそうに舌打ちした。「……ふん。だが、どう見ても変わっているだろう。前より……色が濃い。輝きも違う。何をしたんだ」 羽は確かに、私が子の体に入った直後よりも更に、一回り大きくなって更には光も増している。 コーンワルドで過ごした日々が、私を癒したから。生命力がまた満ちたようだった。 アディノスは、まるでそれが気に入らないかのように続けた。「ナノリアは元々王家で育てている妖精だろ? 俺が管理して把握するのは当たり前じゃないか」「管理、把握……殿下はもう少し言葉を学んでいただきた

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