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第 125 話

last update Tanggal publikasi: 2026-09-03 13:16:19
「知っていた場合は?」

クラリスは一拍置いた。

「正式に責任を問うことになります」

その言葉を口にした瞬間、クラリスは改めて実感した。

これは、ただの帳簿合わせではない。

社交界の中心にいるローゼン侯爵夫人へ、線が伸び始めている。

彼女が直接不正をしたのか。

利用されたのか。

黙認したのか。

まだ分からない。

けれど、避けては通れない。

セルゲイ大使は、しばらくクラリスを見ていた。

「クラリス顧問。共同確認は、静かな作業に見えて、時に剣より深く切ります」

「存じております」

「本当に?」

「……今日、少し分かりました」

セルゲイは、わずかに
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    ミレーヌは少し驚いた。 「ありがとうございます」 「北方では、同じ保温布でも、病床用と移動用で厚みを変えます。施療院での使用場所を確認するのは意味があります」 クラリスは、ミレーヌを見た。 妹は少し赤くなっているが、きちんと立っている。 補佐見習いとしての視点が、国際案件の品目分類に入り込んだ瞬間だった。 「では、受領先用途欄に使用場所を追加しましょう」 クラリスが言うと、セリアが書き取った。 受領先用途:病床用/待合室用/移動用/その他。 ミレーヌは、小さく息を吐いた。 自分の発言が記録された。 怖い。 でも、少し嬉しい。 そんな顔だった。

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    現物を見る必要がある。 布の端を見る必要がある。 その布が誰のための布なのか、最後まで追う必要がある。 夕方近く、セルゲイ大使が顧問室を訪れた。 彼はいつものように穏やかだったが、机の上に広げられた布を見ると、ほんの少し嬉しそうな顔をした。 「届きましたか」 「はい。非常によい布です」 「北方の冬では、この程度でなければ役に立ちません」 「アルヴィアの冬でも十分役に立ちます」 「そうでしょう」 セルゲイは布に触れ、端印を確認した。 「気づかれましたか」 「イリスが見つけました」 「さすがです」 イリスは静かに礼をした。 「端を見るのは侍女の仕事でもござ

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    ミレーヌは、少し考えてから続けた。 「元品目と予定用途を分ける必要があります」 クラリスはオスカーを見る。 オスカーはすでに書いていた。 元品目:北方厚織毛布地。予定用途:防寒外套/寝台用毛布/施療院保温布/冬季慈善支援品。最終分類:受領先用途確定後。 セリアが静かに言った。 「慈善記録官室の分類表にも、元品目欄と最終用途欄を追加しましょう」 「はい」 ミレーヌは頷いた。 だが、その顔にはまだ迷いがあった。 クラリスは気づいた。 「何か気になりますか」 「……はい」 「言ってみて」 ミレーヌは布を見つめた。 「これ、同じ布ですよね」 「ええ」

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    王宮筆頭実務顧問室に、布が届いた。 書類ではない。 帳簿でもない。 封蝋のついた外交書簡でもない。 布である。 しかも、かなり上等な布だった。 深い灰色に、わずかに青みが混じった毛織物。手で触れると厚みがあるのに硬すぎず、指先を押し返す弾力があった。冬の風を受けても、それを内側へ通さないだろうと分かる。 机の上に置かれたその布を、クラリスはしばらく無言で見つめていた。 「お嬢様」 イリスが横から言った。 「ついに書類ではなく現物が攻めてまいりました」 「攻めてきたわけではありません」 「では、押しかけてきました」 「それも少し違います」 クラリスは

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    「承知いたしました」 クラリスは礼をした。 その隣で、イリスも礼をする。 どちらかというと、イリスの方が満足そうだった。 会議が終わった後、ミレーヌがクラリスのもとへ来た。 「お姉様」 「今日は、お疲れ様」 「ありがとうございます」 ミレーヌは、まだ少し緊張しているようだった。 だが、その顔には確かな喜びもある。 「国王陛下に、見習い継続を認めていただきました」 「ええ」 「三か月後、正式採用されるかは分かりません」 「はい」 「でも、今日の報告に自分の仕事が入っていたことが……その、嬉しかったです」 クラリスは微笑んだ。 「あなたの仕事です」

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    国王は、最後の文言を見て頷いた。 「単独管理しない。よい」 「はい」 クラリスは答える。 「顧問室が国際交易路まで単独で抱えることは、制度の趣旨に反します」 「分かっているならよい」 国王の声には、少しだけ笑みが混じっていた。 イリスが後ろで静かに控えている。 何も言わないが、たぶん後で「本当に分かっておられるか確認します」と言う顔だった。 最後に、王宮筆頭実務顧問室の勤務状況報告が来た。 クラリスは、少しだけ息を整えた。 国王が表紙を見た瞬間、面白そうな顔になる。 「これが、顧問室自身の報告か」 「はい」 クラリスが答えようとした時、イリスが一歩前

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