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第708話

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男の姿が完全に見えなくなると、静奈は小さく安堵の息を吐き、張り詰めていた肩の力を抜いた。

数歩離れた場所から、彰人はそんな彼女を静かに見つめていた。

これまでは、どこか人を寄せ付けない冷ややかな姿しか見たことがなかった。

だが今目の前にいるのは、とっさに機転を利かせて強がってみせ、真実と嘘を織り交ぜて悪党を完璧に退けた彼女だ。

その生き生きとした表情の移り変わりに、彰人はどうしようもなく胸を熱くさせ、溶けてしまいそうなほど愛おしい眼差しを向けていた。

静奈は携帯をバッグにしまうと、彼には何も言わず、そのまま振り返って歩き出した。

しかし二歩も進まないうちに、彰人が自分のすぐ後ろをぴったりとついてきていることに気づいた。

彼女は足を止め、振り返って軽く眉をひそめた。

「彰人、どうしてついてくるの?」

彰人は、まるで飼い主に置き去りにされそうな大型犬のように、少し寂しそうな目を向けて尋ねた。

「どこに行くんだ?」

静奈の答えは、少しの躊躇もなく淡々としていた。

「彼氏のところよ」

彰人は言葉を失った。

彼女は、どう言えば一番俺の心をえぐれるのか、本当に残酷なほど
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