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第208話

Author: 八雲詩乃
入社手続きは滞りなく進んだ。

担当者は新人とは思えないほど手際がよく、手順も必要書類もきちんと整っていた。おかげで、佳奈も余計な時間を取られずに済んだ。

手続きを終えると、最後に社長へ挨拶することになった。

担当者に案内されて社長室へ向かったが、あいにく社長は不在だった。

呼んでくるので少し待っていてほしいと言われ、佳奈はおとなしく待つことにした。

待つ間、室内をぐるりと見渡した。

内装はシンプルで、広々として見通しもいい。家具は少ないものの、どれも上質な品ばかりだった。

無駄な装飾はなく、隅々まですっきりと整っている。

落ち着いて仕事に集中できそうな、秩序のある空間だった。

どうやら、かなり趣味のいい中年男性らしい。

5分ほどすると、扉の向こうから足音が聞こえてきた。

佳奈は急いで振り向いた。

入ってきた人物と目が合った瞬間、その場で固まった。

芳賀和之?

どうして、ここに?

頭が追いつかないまま立ち尽くしていると、担当者が紹介した。

「こちらが芳賀社長です」

続いて、佳奈のほうを紹介する。

「本日入社された吉川佳奈さんです」

この会社の社長が和
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