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第86話

Author: 八雲詩乃
宗介たちは、皆それぞれ性格がはっきりしていた。

聡は傍若無人で、宗介は冷淡。拓真は身内にはとことん甘い。

だが、和之はと聞かれると、若葉にはすぐにふさわしい言葉が思い浮かばなかった。

「あるんじゃないか。大切に思うものが何もない人間なんて、いないだろう」

そう言ってコーヒーを一口飲むと、和之は話題を変えた。

「それより、君はずいぶん変わったな。会うたびに印象が違う」

前に会ってから、また一週間が経っていた。

わずか7日の間に、若葉はさらに痩せ、大学時代とほとんど変わらない姿に戻っていた。

体つきも顔立ちも、かつて和之が大学の匿名掲示板で見かけた、あの写真に写っていた頃と同じだった。

若葉は、ダイエットのことを言っているのだと分かり、淡々と答えた。

「別に、そこまで変わってないわ。本来の自分に戻っただけだから」

ちょうどその話が出たこともあり、若葉は自分から伝えておいたほうがいいと思った。

数日後には安藤グループを退職する。もしかすると、和之はすでに宗介から聞いているかもしれない。

「そうだ。もうすぐ安藤グループを辞めるの。来週の水曜日が最後よ」

「辞める?」
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