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第8話

Auteur: 染谷律
姉はハッと息を呑んだ。

一方、拓海は一瞬にして顔面を蒼白にさせ、ギリッと強く拳を握りしめた。

鈴木先生は電話の向こうで笑っている。

「すまないね、ずっと海外に行っていたんだ。退職したから、ゆっくり羽を伸ばそうと思ってね。国内の人間とは一切連絡を絶っていたんだよ。

そうだ、推薦枠なら拓海くんが君に譲ってくれたじゃないか。どうして君が退学したなんて噂になっているんだい?」

「譲りました?」

姉は射抜くような視線を真っ直ぐに拓海へと突き刺した。

彼女の声を聞いて、鈴木先生は少し間を置いてから尋ねた。

「……君は、湊くんのお姉さんかな?彼はいるかい?」

「すみません、もう一度言ってください。3年前のあの推薦枠は……拓海が、湊に譲ったんですか?」

「そうだよ。あの二人の点数はわずか1点差だった。あの時、拓海くんは『湊さんには恩があるから』と言って、推薦枠を自ら湊くんに譲ったんだ」

姉の顔から、サーッと血の気が引いていく。

鈴木先生はまだ話を続けている。

「湊くんは元々受け取るつもりはなかったんだがね。拓海くんが床に土下座までして、『受け取ってもらえないと罪悪感で押し潰さ
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